フクロウblog | ドクター海老澤のコーナー

医療法人和楽会の「フクロウblog」です。治療や講演会などの様々な情報をお届けします。

夜更かし・寝坊とメンタルヘルス(ケセラセラvol.95 冬)

医療法人和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤尚

 

ケセラセラNo.84で、夜型の生活リズム(入眠時刻/覚醒時刻が遅く、1日の中で遅い時間帯に活動性のピークを迎える、いわば「夜更かし、朝寝坊タイプ」)の人は朝型(入眠時刻/覚醒時刻が早く、1日の中で早い時間帯に活動的になる、「早寝早起きタイプ」)の人に比べて「うつ」になる率が高く、「うつ」になってからの回復率も低いという研究をご紹介しました。夜型の傾向が強いほど、「うつ」の症状が重い傾向があることも知られています。うつ病では午前中の方が気分の落ち込みが大きい(気分の日内変動)ことがしばしばありますが、これも夜型の人に多いようです。

このほかにも夜型の生活リズムとの関係が報告されているメンタル疾患がいくつかあります。

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ストレスチェック制度 (ケセラセラvol.94 秋)

医療法人和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤尚

 

平成 27 年 12 月 1 日からス トレスチェック制度が始 まりました。労働安全衛 生法に定められ、ストレス チェックを実施することが 事業者の義務になっていま す(労働者数 50 人未満の事 業場は当分の間努力義務)。

①労働者のメンタルヘルス 不調の未然防止

②労働者自身のストレスへ の気づきを促す

③ストレスの原因となる職 場環境改善につなげる

が目的です。ストレスチェッ クの結果、高いストレスを 受けていると判定された労 働者(高ストレス者)から申 出があった場合、医師によ る面接指導を実施すること が事業者の義務になってい ます(申出を理由として労 働者に不利益な扱いをする ことは禁止されています)。(中央労働災害防止協会のHP [https://www.jisha.or.jp/stresscheck/about.html]より)メンタルヘルス不調につ ながる職場のストレスに早 く気づいて対応しましょう という制度です。

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職場での「うつ」の多様性について(ケセラセラvol.93 夏)

医療法人和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤 尚

 

近年職場での「うつ」が注目されています。テレビやネット、雑誌などで特集が組まれることが増え、大きな関心を集めています。
職場での「うつ」は休養や抗うつ薬等の治療で回復する方も多いですが、なかなかよくならなかったり、再発を繰り返したり、復職しても欠勤がちだったり、職場で失敗が多く繰り返し注意されたり、周囲とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、などの問題を抱え、安定した回復に至らない方も少なからずおられます。

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過眠症(ケセラセラvol.92 春)

医療法人和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤 尚

 

今回のテーマは過眠症です。日中に強い眠気を感じてうとうとしたり、居眠りを繰り返す疾患です。既にご紹介した睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群では夜ぐっすり眠れないための眠気ですが、ここでは夜眠っているはずなのに日中の強い眠気を感じる疾患をご紹介します。

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大人のADHD (ケセラセラ vol.91 冬)

医療法人和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤尚

 

最近「大人の発達障害」という言葉をマスコミやネットでよく目にします。発達障害には自閉スペクトラム症(以前、アスペルガー障害や自閉症と呼ばれていた疾患を含む診断名です)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習症(障害)などが含まれます。発達障害は主に小児の疾患と考えられていました。しかし最近では、大人になってもその特性が残り、仕事や日々の生活に支障をきたす場合が少なくないことが明らかになっています。ここでは大人のADHDについて解説します。

大人のADHDは欧米の研究では人口の2.5%~3.4%(1)(2)に、日本の研究では1.65%(3)に存在するとされています。ADHDは小児では男性の方が多いですが、大人では男女差は小さくなります。
ADHDの特性には注意散漫と多動性・衝動性があります。
ADHDの特性は幼小児期から存在するはずですが、軽い場合は「そそっかしい」「忘れ物が多い」「落ち着きがない」「個性的」「集団行動が苦手」という性格上の特徴として捉えられ、大きな問題にならないこともあります。学生時代には、本人の特性を家族や友人・学校の先生などが容認・サポートしてくれる保護的な環境にいるので表面化せず、大人になって働き始め、本人が独立してコミュニケーションをとり、業務を遂行しなければならなくなって初めて問題点が表面化することもあります。職場や生活環境の変化後にADHDの特性が目立つようになり、気づかれることもあります。多動性・衝動性は十歳代で目立たなくなることが多いですが、注意散漫は成人後も残ることがしばしばあります。

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