フクロウblog | 2019 | 8月

医療法人和楽会の「フクロウblog」です。治療や講演会などの様々な情報をお届けします。

女性メンタルヘルス外来 OHANA開設

医療法人和楽会 心療内科・神経科 赤坂クリニック 南房香

 

この度、赤坂クリニックに、女性メンタルヘルス外来 OHANAを開設いたしました。日本は出産に関する安全性は世界一と言えますが、一方で「周産期のメンタルヘルス」はまだまだ注視されていないのが現状です。
お子さんの将来の精神状態にも関わる“脳”の形成は、胎児期からすでに始まっています。また産後もお母さんが赤ちゃんを十分にケアすることで、お子さんの発達に良い影響が生じるので、お母さんが妊娠中~子育てを通して心の健康を保つことはとても大切です。
しかし周産期は、ホルモン変動や心理的なストレス、また通院や内服の中断が多いため、精神的不調が生じるリスクが高いのです。不調が生じないように予防していくこと、不調が生じた際に十分なケアを受けることが、最も大切です。
OHANAはハワイ語で「家族」を意味します。私たちスタッフは、心の健康の専門家であると同時に、次世代の幸福を願う子育て世代の当事者です。家族のwell-beingをめざし、今できることを一緒に始めていきましょう。

以下OHANAのご案内です。

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病(やまい)と 詩(うた)【 51 】― 「 いのち」が私をする ―(ケセラセラvol.97夏)

東京大学 名誉教授 大井玄

 

先日、都立松沢病院の認知症病棟で出口に向かって廊下を歩いていたら、年齢80代に見える女性が出口で心細げに立っている。挨拶し、彼女の名を訊ねると、微笑しているが答えられない。もとより病棟の外に出るのは許されない。彼女を廊下の出口の反対の窓際まで誘導して、別れた。
認知症でも自分の名前が出てこないほど言語能力が衰えるのは、相当進行しているのであって、通常、認知能力測定スケールで重度に落ちている方でも、自分の名前は言える。

100歳を過ぎ、自分の名も出なくなり、子供の顔も見分けられなくなった方がおられた。介護が良いせいか、穏やかに笑みを浮かべておられた。仏様のようだと感じたものである。

なぜ仏様なのか。それは、彼女には私たちが常に持っている、「私が、私が」というエゴイスティックな自我感覚がないように見えたからであろうか。唯識の深層心理学ではこの自我感覚をマナ識と呼んだ。

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山中です。 よろしくお願いいたします。(ケセラセラvol.97夏)

医療法人和楽会 横浜クリニック 院長 山中学

 

本年5月より横浜クリニックの院長として勤務しております、山中学(やまなか がく)と申します。よろしくお願いいたします。

赤坂クリニックでは開院時より診療していますが、この20年近くは大学病院の内科が本務でした。総合内科の中で心療内科を担当し、心身症、身体症状症、不安症、うつ病などを中心に、診療をおこなっておりました。ストレスが影響を与える身体の病気も含めて、「心療内科」で扱う症状全般にわたって、お役に立てればと考えております。通勤時間が長くなった分、読書の時間が多くとれそうなので、この欄では読んだ本のことなども書いて行こうかと思います。

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アルツハイマー型認知症(ケセラセラvol.97夏)

医療法人和楽会 なごやメンタルクリニック 院長 岸本智数

 

現在一般的に使用されている「認知症」という言葉は、dementiaという語に対する訳語です。この言葉の歴史的変遷は次の通りです。明治41年に東京帝国大学精神科の呉秀三教授が「老耄性癡呆」という言葉を提唱するまでは、「老耄性癡狂」という言葉が使用されていました。戦後は「老年痴呆」という言葉が使用されていましたが、2005年より現在の「認知症」が使用されることとなりました。また、元来「senile dementia」という言葉は、現在のように「老年期発症の認知症」すべてではなく、「老年期発症のアルツハイマー病」をさす言葉として使用されていました。そのため、近年では「認知症=アルツハイマー病」という誤りが広まっています。正確には「認知症」の中に、アルツハイマー病や血管性認知症、レビー小体型認知症などがあります。年齢による分類では日本認知症学会では、18~39歳での発症を若年期認知症、40~64歳での発症を初老期認知症、65歳以降の発症の場合は老年期認知症と定義しています。

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マインドフルネスの臨床効果と脳科学 ⑥マインドフルネスは痛みを和らげるか(ケセラセラvol.97夏)

医療法人和楽会 理事長 貝谷久宣

 

マインドフルネスストレス低減法の創始者カバット― ジン博士は90人の慢性疼痛患者に10週間のマインドフルネス・プログラムを行いました(1985)。その結果、訓練時の痛み、ボディイメージ、痛みによる活動性、病的症状、不快気分、不安・抑うつ、鎮痛剤の服用量、自己肯定感といった項目ですべて有意な効果があったと報告しています。多くの患者はその後も瞑想を続け、これらの効果は15か月後も持続していたということです。この論文で、マインドフルネスが臨床医学で脚光を浴びる大きなきっかけとなっています。しかし、現代医学でも慢性疼痛の治療はそれほど容易なものではありません。

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