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大人のADHD(ケセラセラ vol.91)

医療法人和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤尚

 

最近「大人の発達障害」という言葉をマスコミやネットでよく目にします。発達障害には自閉スペクトラム症(以前、アスペルガー障害や自閉症と呼ばれていた疾患を含む診断名です)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習症(障害)などが含まれます。発達障害は主に小児の疾患と考えられていました。しかし最近では、大人になってもその特性が残り、仕事や日々の生活に支障をきたす場合が少なくないことが明らかになっています。ここでは大人のADHDについて解説します。

大人のADHDは欧米の研究では人口の2.5%~3.4%(1)(2)に、日本の研究では1.65%(3)に存在するとされています。ADHDは小児では男性の方が多いですが、大人では男女差は小さくなります。
ADHDの特性には注意散漫と多動性・衝動性があります。
ADHDの特性は幼小児期から存在するはずですが、軽い場合は「そそっかしい」「忘れ物が多い」「落ち着きがない」「個性的」「集団行動が苦手」という性格上の特徴として捉えられ、大きな問題にならないこともあります。学生時代には、本人の特性を家族や友人・学校の先生などが容認・サポートしてくれる保護的な環境にいるので表面化せず、大人になって働き始め、本人が独立してコミュニケーションをとり、業務を遂行しなければならなくなって初めて問題点が表面化することもあります。職場や生活環境の変化後にADHDの特性が目立つようになり、気づかれることもあります。多動性・衝動性は十歳代で目立たなくなることが多いですが、注意散漫は成人後も残ることがしばしばあります。

ADHDの症状の具体例としては、子供の頃から失くし物・忘れ物が多い、幼少時一人でどこかに行って周囲から心配されて探される、不注意なミスや誤字・脱字が目立つ(見直しても見落とす)、他の仕事が入ると元の仕事を忘れる、時間の管理・計画的に順序立てて物事をするのが苦手、ぎりぎりの時間になるまで物事に手を付けられない、周囲からの雑音に気が散りやすい、無関係なことを考えて気が散る、長い時間ひとつのことをやり続けて最後まで終えることができない、身の回りの整理・片づけができない、約束を忘れる、直前に聞いたことを忘れる、怪我が多い、優先順位をつけられない、おしゃべりが目立つ、他人の話に割り込む、待つことができない、他人がしていることに干渉する、落ち着きがなくじっとしていられない、衝動的な決断・衝動買いをする、言うべきでないことを考えずに言ってしまう、好きなことには夢中になるが他はやらない、飽きやすい、要点をまとめて話すのが苦手、などがあります。
朝起きられない、日中眠いなどの睡眠障害を伴う場合もあります。

ADHDの方一人一人がこれらすべての症状を備えているのではなく、症状の種類や強さは人によって異なります。これら症状の1つ1つは誰しも時には経験することですが、頻繁に繰り返し生じる場合は仕事や日々の生活に支障が出ることがあります。
症状のために仕事・学習が進まない、家庭や学校・職場などで繰り返し、あるいは厳しく叱責される、などのために自信を失ったり、うつ状態になることもあります。ADHDの方の19~50%程度がうつ病や双極性障害などの気分障害を併存すると報告されています(4)。
仕事や日々の生活に支障が出るほどの症状があるときは、特性を軽減するための薬物療法や、生活上の工夫、職場環境の調節などを行います。

 

(1) Fayyad, J, De Graaf, R, et al.: Cross-national prevalence and correlates of adult attention-deficit hyperactivity disorder. Br J Psychiatry, 190; 402-409, 2007
(2) Simon, V, Czobor, P, et al.: Prevalence and correlates of adult attention-deficit hyperactivity disorder: Metaanalysis. Br J Psychiatry, 194; 204-211, 2009
(3) 中村和彦、大西将史、et al.:おとなのadhdの疫学調査:特集一おとなのadhd臨床. 精神科治療学,28; 155-162, 2013
(4) Clemow, DB, Bushe, C, et al.: A review of the efficacy of atomoxetine in the treatment of attention-deficit hyperactivity disorder in children and adult patients with common comorbidities. Neuropsychiatr Dis Treat, 13; 357-371, 2017

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