フクロウblog | 強迫性障害に対する3日間集団集中プログラムについて

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強迫性障害に対する3日間集団集中プログラムについて

こんにちは。最近、朝晩涼しく感じられるようになりましたね。気づけば来週から10月なんですね。あと3カ月で今年も終わりです!!1年はあっというまですね。

本日はなごやメンタルクリニックで行われている強迫性障害の方向けの認知行動療法について、なごやメンタルクリニックの岡嶋美代心理士からご紹介させていただきます。

ある日曜日に患者さんらが10人ほど集って、自分の人生の価値について考えるエクササイズをしています。「私ってこういう人だったんですね。忘れていました」などと、しみじみと自分を見つめ直しています。「楽しかったですね。お互い、明日からも頑張りましょう」と笑顔で穏やかな顔をして、名残惜しそうにクリニックをあとにします。

月に一度の集団集中プログラムの最後のシーンは、たいていそんな風です。

1日目に暗い顔をして不自由そうな仕草で椅子に座って聞いていた人が、別人のように変わることもあります。「本当に明日から大丈夫でしょうか。みんなと一緒にならできたけど、一人になってからできるか不安です」と、なかなか帰りたがらない人もいます。集団療法の効果というのは個人療法の比ではありません。

強迫性障害の患者さんを集めた3日間集団集中プログラムをなごやメンタルクリニックで月1回行っています。1日目は3時間の教育プログラムです。ここにはすでに行動療法を実践中の先輩患者さんと、2日目・3日目へと参加を決めた患者さんやまだ参加するかどうか迷っている患者さんやその家族の方々が集い、狭いクリニックはスリッパがなくなるほど混雑します。病気に関する教育とともに、先輩患者さんたちは一カ月前の自分と、どんなところが、どんなことをして変わってきたかなどを話してもらいます。次に、明日からの集団集中プログラムのための準備となる症状の理解を深めるよう自己紹介をしてもらいます。中にはこの日から軽く行動療法を進めてもらう場合もあります。教育プログラムと言ってもいらっしゃったメンバーに合わせて解説はいつも変わってきます。マニュアルはありません。

そして朝10時から18時まで続く土日の集中プログラムへ突入していきます。この内容について、「どんなことをするのか事前に知りたい、知らなければ参加できない」とおっしゃる方がいます。しかし、残念ながらその日どんなことをするのかは、その日にならなければわかりません。メンバーによって、その重症度によって、強迫観念や儀式の内容によって、プログラムはその場その場で決められていきます。そして、嫌だったことに近づいたり、慣れるまで繰り返したり、自分から不快感を積極的にあじわう新しい自由な行動が出てくるように治療者が導きます。新しい行動が定着するように繰り返すことを教えます。帰ってからどんな生活をすればよいか宿題を出すこともあります。

ここで使われる技法は、エクスポージャーと儀式妨害という方法を基本に、アクセプタンス&コミットメントセラピーやリラクゼーションや瞑想やその他のさまざまな行動変容の技法を、必要に応じて伝えていきます。自宅に帰ってからも継続して、患者さん自身で、回避を減らせるよう公開掲示板を使ってフォローアップを行っています。

この3日間プログラムに参加するには、心理士によるカウンセリングを2回ほど受けていただくことを推奨しています。1回目のカウンセリングで個別に症状の詳細を聞きとり、治療仮説を立て課題設定まで行い、2-4週間その課題を実践してもらいます。更に次のカウンセリングにおいて、課題の実践の様子からプログラム参加の時期について検討したり課題を見直したりして、プログラム参加を決断するという経緯がベストです。ちなみになごやメンタルクリニックへ来院する強迫性障害の患者さんの約3割の方が集団集中プログラムへ参加されますが、他の方はカウンセリングや薬物療法だけで治していかれます。集団集中プログラム参加者の約8割の方にプログラムから1カ月以内で症状が半減するという効果が出ています。このことは治療を急ぐ必要のある方や、遠方で毎月の通院が難しい方の場合には有効な手段ということができます。

最後にこの治療は自費診療です。3日間で105,000円+消費税がかかります。高額な治療になりますので、それだけに参加される方々は真剣です。その取り組みの篤さが回復への後押しともなるようです。