フクロウblog

医療法人和楽会の「フクロウblog」です。治療や講演会などの様々な情報をお届けします。

マインドフルネスの臨床効果と脳科学 ②すこし思いやりの気持ちが持てるようになりました(ケセラセラvol.93 夏)

医療法人和楽会 理事長 貝谷 久宣

 

東京マインドフルネスセンターではヨーガの後に瞑想を25分しています。最後の5分は慈愛の瞑想(Loving-Kindness Meditation)です。慈愛と慈悲(Compassion)は少し意味が異なります。慈愛は、自分や他人が幸せになることを望む祈りです。慈愛はパーリ語でMettaと表現され、「無条件の親しみ」や「博愛」と訳されることもあります。自分や他人に対する善意を培う際に、私たちはいつでも慈愛を体験することが出来ます。一方、慈悲とは自分や他人が苦しみから解放されることを望むことです。苦しみに気が付いた時、それを願望や行動として和らげたいと思う時に、慈悲の心が生じます。実際には、慈悲の瞑想は慈愛の瞑想の一部であると考えている人もいます。

では、慈愛の瞑想はどのようにするのでしょうか。瞑想中に次のように心の中でつぶやきます:私が幸せでありますように! 私の悩み苦しみがなくなりますように! 自分に対する慈愛の瞑想が終わったら次には、自分に最も身近な人、親しい人、または好きな人に対して、その次には好きでも嫌いでもないその時にふっと顔が浮かんだ人に、その次に嫌いな人に、その次には生きとし生けるものに、最後にもう一度自分に対して行います。この時、嫌いな人を思い出すだけで心が乱れそうならパスします。

慈愛の瞑想中に参加者の様子を眺めていますと、皆さんの真剣な様子が伝わってきます。中には顔をしかめたり、涙を流す人もいます。慈愛の瞑想を真剣にすると瞑想がより深まります。

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病(やまい)と詩(うた)【46】ー痴呆老人の懸念ー(ケセラセラvol.92 春)

東京大学 名誉教授 大井 玄

 

わたしは生涯を通じて非政治的でナイーブな人間であった。現在は老耄の旅人として夕闇迫る荒野をとぼとぼ歩いている。わが身に何が起こっても驚かない、悲しみもしない。それでも世の中を見渡すと心配する種はある。アメリカ大統領ドナルド・トランプが朝鮮半島に先制攻撃を仕掛けることである。戦争が始まれば、初日に百万人が殺される可能性があるというスタンフォード大学の推測がある。

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将棋の話ーその3ー(ケセラセラvol.92 春)

医療法人和楽会 神経内科・精神科 赤坂クリニック 院長 吉田 栄治

 

藤井四段はあっという間に六段になってしまいました。まず2月1日、順位戦C級2組の9回戦で全勝をキープし、C級1組へのトップ昇級を決めて五段となりました(C級1組になると五段になる規定)。そしてそのたった16日後の2月17日には、ベスト4に勝ち進んでいた朝日杯の準決勝でなんとあの羽生善治竜王を破り、決勝ではバリバリのA級棋士である広瀬章人八段を撃破して、プロ棋戦で優勝してしまいました。『五段昇段後に全棋士参加棋戦で優勝すると六段に昇段する』という規定があり、藤井五段はまだ中学生であるのにプロ六段になってしまいました。
もしかりに朝日杯の優勝が、順位戦の昇級より先だった場合は、そこで五段になって、そのあとC級一組への昇級が決まっても、その場合は五段どまりでした。天の巡り合わせですね。中学生でプロ六段というのは空前絶後の記録です。すごいです。
藤井六段はその後も快進撃を続け、3月8日には師匠の杉本昌隆七段に勝利し(杉本七段は負けはしましたが、対局後のとてもうれしそうな様子が印象的でした)、3月15日には順位戦の最終戦を勝利で飾り、再び連勝記録を15に伸ばしています。またまたどこまで記録を伸ばすのだろうかとわくわくしてきます。

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過眠症(ケセラセラvol.92 春)

医療法人和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤 尚

 

今回のテーマは過眠症です。日中に強い眠気を感じてうとうとしたり、居眠りを繰り返す疾患です。既にご紹介した睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群では夜ぐっすり眠れないための眠気ですが、ここでは夜眠っているはずなのに日中の強い眠気を感じる疾患をご紹介します。

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邂逅相遇(かいこうそうぐう)(ケセラセラvol.92 春)

医療法人和楽会 なごやメンタルクリニック 院長 岸本 智数

 

私が本格的になごやメンタルクリニックでの診療を開始し、2ヶ月が過ぎました(この原稿を書いているのは2月末です)。
名古屋に来てからの懸案事項の一つが昼食をどうするかということでした。たかが昼食というなかれ、衣食足りて礼節を知る、腹が減っては戦は出来ぬと言われますが、食事はとても大切なことの一つなのです。また、私は見知らぬ街を歩くこと、知っている街でもいつもと違う道を歩くことが好きです。こんなところにこんな建物やお店があるとか、この道がこんなところにつながっているなど、そんな楽しみや驚きがあるからです。

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