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「不安症の時代」 不安・抑うつ臨床研究会 編
不安症にかかっている人はおどろくほど多いのです。罹患率の調査が新しくなされるたびにその数は増加しています。たとえば、社会恐怖を例にとってみますと、1986年に米国から報告された社会恐怖の生涯発症率は100人当たり1.5人ですが、1994年の報告では13人です。この最近の調査によりますと、なんらかの不安症に一生涯のうちにかかる人の割合は100人に約25人という結果が出ています。不安症は男性より女性のほうが倍近くかかりやすいといわれていますので、女性3人に1人、男性6人に1人は不安症にかかることになります。 不安症にかかっている人が多数いらっしゃることがわかりましたが、では、いったいこのような人たちは自分の悩みにどのように対処しているのでしょうか? 不安症をもった人が医療機関にかかる割合は数%にも満たないといわれています。大部分の人は一人で悩んでいらっしゃるのだと考えられます。 本書はおもにこれらの人々のために書かれたものです。しかし、このような人たちをとりまく家族や友人、また、精神保健関係の方々にも十分手応えのある読み物になるよう配慮しました。 神経症に関する一般向けの書物は、適切で読みやすい本が多いとはいえません。従来「神経症」と呼んでいた状態を新しい精神医学では「不安障害」といっています。不安障害、すなわち不安症の精神医学はこの10年間飛躍的に進歩してきました。科学的アプローチが可能になってきたのです。それには、心身医学の進歩、精神薬理学の進歩、脳機能の画像解析の進歩、認知・行動療法的心理学の進歩などが寄与しています。 本書は、このような医学の発達が実際の医療の場で多くの人々に利用され、不安症にかかった人々の悩みがすこしでも軽くなることを望んで書かれました。 |