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「強迫性障害」 〜わかっちゃいるけどやめられない症候群〜 久保木富房 だれでも外出時に鍵をかけ忘れたのではないかと心配になって、確認したという経験をおもちかと思います。また、同じことを執拗に何回も質問する子どもやトイレの後に手洗いを何度も繰り返す若者をみたことがあるのではないでしょうか。これらが強迫という行為に関係あるものです。 強迫行為は、やっている本人がやめようと思いつつ、でもやめられずにやっているという場合が多いのです。まさに「わかっちゃいるけどやめられない症候群」といわれるゆえんです。臨床的には強迫性障害といいます。 この強迫性障害とその周辺疾患は意外に多いものだということが最近わかってきました。不潔恐怖、確認行為、詮索癖、計算癖、摂食障害(拒食症や過食症)、チック、過敏性腸症候群、書痙、痙性斜頸、抜毛癖、ワーカーホリツク、吝嗇、買い物依存、うつ病、身体醜形障害、各種の嗜癖、教育ママなどです。 これらの強迫行為は、別の見方をすると「安全確保行動」とみることが可能です。この「安全確保行動」の意味するところは、本書にくわしく書かれております。結論だけ申し上げると、強迫性障害の治療のポイントは、この生活に支障をきたす安全確保行動を、どのようにしたら生活に支障をきたさない安全確保行動に置き換えることができるかということにあります。 強迫行為に悩む方はもちろんのこと、保健、医療や教育、企業で活躍される方、さらにはそうした子どもをもつ方………、複雑な人間関係のなかで生活するすべての方に役に立てることを期待して本書を世に出しました。 一九九八年一二月 久保木富房
第T部 強迫性障害とは 強迫性障害とその周辺の病気 強迫性障害の脳内機構 強迫性障害の薬物療法 強迫性障害の認知行動療法 精神分析学からみた患者さんの性格 第U部 私の出会った患者さん 14年間悩んだ強迫性障害 強迫症状が目立った分裂病症例 摂食障害・不潔恐怖・クレプトマニア 4、7、9で苦しんだ女性 過食とリストカットがとまらない 躁とうつを繰り返す状態に合併した強迫症状 薬物療法の効果がなかった例、効果があった例 加害恐怖とそれを緩和するための確認強迫 悪徳政治家が引き出した強迫性障害 毛髪抜毛症 ワーカーホリックの男性 自動車の音が気になってしかたない 強迫性人格障害に神経性食欲不振症を併病 不潔恐怖のために不登校になった女の子 体感幻覚−拒食症と不潔恐怖の女の子 消毒や洗浄のために日課となった耳鼻科通い
久保木富房(くぼき・とみふさ=編者)東京大学医学部分院心療内科教授。著書に『抗不安薬の選び方と使い方』(新興医学出版社,1990年),『不安症の時代』(共編,日本評論社,1997年)など 伊藤克人(いとう・かつひと)東急病院心療内科医長。著書に『新版心身医学』(共著,朝倉書店,1994年),『よくわかる心療内科』(共著,金原出版,1997年)など 上原 徹(うえはら・とおる)新潟大学医学部精神医学。著書に『強迫の精神病理と治療』(共著,金剛出版,1997年),『家族教室の進め方』(共著,同前,1998年)など 貝谷久宣(かいや・ひさのぶ)医療法人和楽会理事長,不安・抑うつ臨床研究会代表。著書に『不安・恐怖症−パニック障害の克服』(講談社,1996年),『脳内不安物質』(同前,1997年)など 神庭重信(かんば・しげのぶ)山梨医科大学精神神経医学教授。著書に『操うつ病の脳科学−方法論から臨床研究まで』(星和書店,1995年),『精神科薬物ハンドブック』(医学書院,1997年)など 木下敏子(きのした・としこ)佼成病院小児科。著書に『子供の健康学』(共著,佼成出版社,1988年),『思春期異常』(共著,新星出版社,1993年)など 久保千春(くぼ・ちはる)九州大学医学部心療内科教授。著書に『心身医学標準テキスト』(編著,医学書院,1996年),『自律神経失調症』(編著,保健同人社,1996年)など 後藤健文(ごとう・たけふみ)防衛医科大学校精神科 坂野雄二(さかの・ゆうじ)早稲田大学人間科学部教授。著書に『認知行動療法』(日本評論社,1995年),『認知行動療法の理論と実際』(共編,培風舘,1997年)など 坂元 薫(さかもと・かおる)東京女子医科大学神経精神科助教授。著書に『精神科臨床における症例からの学び方』(共著,日本評論社,1994年),『不安症の時代』(共著,同前,1997年)など 佐々木 直(ささき・ただし)東京大学医学部分院心療内科。著書に『抗不安薬の選び方と使い方』(共著,新興医学出版社,1990年)など 宍倉久里江(ししくら・くりえ)駒木野病院精神科。著書に『不安症の時代』(共著,日本評論社,1997年),『こころの健康百科』(共著,弘文堂,1998年)など 染矢俊幸(そめや・としゆき)新潟大学医学部精神医学教授。著書に『DSM−TX精神疾患の診断統計マニュアル』(共訳,医学書院,1996年),『DSM−TXケースブック』(共訳,創造出版,1996年)など 竹内龍雄(たけうち・たつお)帝京大学医学部市原病院精神神経科教授。著書に『神経症の臨床(改訂版)』(新興医学出版社1996年),『パニック障害(追補版)』(同前1996年)など 田島 治(たじま・おさむ)杏林大学医学部精神神経科助教授。著書に『抗うつ薬の過去・現在・未来(共著,星和書店,1992年),『精神治療薬体系』(同前,1996年)など 寺下謙三(てらした・けんぞう)寺下謙三クリニック院長。著書に『健康になる本』(教育書籍,1994年),『医者の心患者知らず』(リヨン社,1995年)など 豊嶋良一(とよしま・りょういち)埼玉医科大学神経精神科教授。著書に『精神分裂病はどこまでわかったか』(共著,星和書店,1992年)など 中澤恒幸(なかざわ・つねゆき)長谷川病院。著書に『強迫性障害−精神病理学から神経生物学への展開』(学会出版センター,1994年),『人格障害と生物学』(同前,1996年)など 中山道規(なかやま・みちのり)防衛医科大学校精神科講師。著書に『ACの臨床』(編著,星和書店,1998年),『児童虐待−臨床編』(共著,金剛出版,1998年)など 野添新一(のぞえ・しんいち)鹿児島大学心身医療科教授。著書に『心の健康とストレス』(共編,公職研,1990年),『ストレス社会を生きる』(旺史社,1997年)など 野村総一郎(のむら・そういちろう)防衛医科大学校精神科教授。著書に『心の悩みの精神医学』(PHP新書,1998年),『内科医のためのうつ病治療』(医学書院,1998年)など 樋口輝彦(ひぐち・てるひこ)昭和大学藤が丘病院精神神経科教授。著書に『難治性うつ病の臨床』(診療新社,1997年),『うつ病−私の出会った患者さん』(編著,日本評論社,1998年)など 平野雅己(ひらの・まさみ)山梨医科大学保健管理センター講師。著書に『専門医のための精神医学レビュー』(共著,総合医学社,1998年)など 福永貴子(ふくなが・たかこ)東京女子医科大学第2病院 藤原広臨(ふじわら・ひろのぶ)防衛医科大学校病院 宮岡 等(みやおか・ひとし)昭和大学医学部精神医学助教授。著書に『内科医のための精神症状の見方と対応』(医学書院,1995年),『精神科ハンドブック(1〜5)』(編著,星和書店,1995〜1997年)など 河山隆志(むらやま・たかし)JR東日本中央保健管理所所長。著書に『思春期異常』(共著,新星出版社,1993年),『子どもの健康医学事典』(共著,テレビ朝日,1996年)など 矢野 純(やの・じゅん)日本赤十字社医療センター耳鼻咽喉科部長。著書に『めまいの初期診療(共著,篠原出版,1981年),『プライマリ・ケアのための心身医学』(共著,朝倉書店,1991年)など 不安・抑うつ臨床研究会 不安症(不安障害)の患者さんは多いのですが、社会におけるこれらの障害への理解はなお不十分で、患者さんはどこに助力を求めたらよいか迷っているのが現状です。不安・抑うつ臨床研究会は、不安障害と感情障害についての臨床研究を行ない、治療を提供する人々と治療を受ける人々に最新の情報を提供し、この分野の医療水準を高めることを目的として、精神神経科、心療内科の専門医、および臨床心理士の有志によって設立されました(代表:貝谷久宣)。研究会の事務局は、心療内科・神経科赤坂クリニック(東京都港区赤板3−9−18 B.I.C.赤坂ビル6階 phone03-5575-8198:fax03-3584-3433)にあります。 |