パニック障害の理解と看護

〜 患者とその家族のために 〜

出版日:2002年12月10日

著者:貝谷久宣

発行所: 医薬ジャーナル社

 定価:980円+税

はしがき

 パニック障害は大変ポピュラーな病気です。先進諸国ほど多い傾向がみられ、現代病かもしれません。それなのに日本の医療界でもまだ孤児扱いです。パニック障害の患者さんがロをそろえて言う言葉があります。それは、「誰も理解してくれない」です。この言葉の一部には多少甘えも入っていますが、それは真実です。パニック障害は医療界からも周囲の人からもまだまだ真実の姿をみられていないのです。パニック障害は客観的な医学的所見がないのであまり
重大視されませんが、本人の苦痛と社会的障害度はうつ病より高く心筋梗塞に近いと米国ではいわれています。

 本書は著者がこの10年間パニック障害を専らみてきた経験と海外の学会で得た知識により書かれたものです。本書の中でも特にパニック障害患者の心性については、数干人の患者を診た著者だけが書けるものだと密かに自負しています。とりわけ病気の症状と患者の甘えとをどこで区別するかはわれわれ医療者にとっても家族にとっても大問題だと考えます。これに明確に線を引くのは困難だと感じています。しかし、長い目でみて、目の先にとらわれず、最終的には患者さんの利益になるような対応が最も大切になるものと考えます。本書によりパニック障害が少しでも理解され,患者さんの幸せに結びつくことを心から祈念してやみません。

平成14年 壬午 神無月 大安吉日

錦繍の蓼科 三井の森 セミナーパウスにて

著者記す

目 次

@ パニック障害はどんな病気か?
  <1> 症状は
  <2> パニック障害はポピュラーな不安の病

A パニック障害の原因
  <1> ストレスにより誘発される
  <2> パニック障害は脳機能障害の病気

B パニック障害の経過
  <1> 広場恐怖と二次的対人恐怖
  <2> パニック性不安うつ病
  <3> 残遺症状(不発作性不定愁訴)

C 薬物療法
  <1> 抗不安薬と抗うつ薬
  <2> 専守防衛の治療に心がける
  <3> 服薬期間は?
  <4> 他の薬やアルコールとの併用は?

D 心理療法
  <1> 認知療法
  <2> 行動療法

E パニック障害の療養
  <1> パニック障害を悪化させる4悪
  <2> パニック障害患者が心がけるべきこと
  <3> パニック障害をどう受け止めるか

F パニック障害患者の理解と看護
  <1> パニック障害を「病気」であると認識する
  <2> パニック発作時の対応は?
  <3> 患者の心の理解
  <4> 家族や周囲の人の対応

G 女性とパニック障害
  <1> 妊娠・出産
  <2> 授乳
  <3> 月経前緊張症とパニック障害

附録1 パニック障害の治療薬
附録2 DSM-WTR 精神障害の分類と診断の手引き第4版