過敏性腸症候群の克服記

「苦しかった四年間」(T.Sさん 女子高校生 1年生)

 私が、過敏性腸炎になってしまったきっかけは、小学五年生の頃にありました。初めて胃腸風邪というものにかかり、そこからトイレがとまらなくなり、胃腸風邪が治ってもトイレのことが心配で心配で、小学生という遊びざかりで楽しい時期なのにこんなことで潰されてしまいました…。私はこのような症状は直にきっと治ると信じていました。しかし、症状は悪化していくばかり…。具体的な症状は、@朝歩いて学校に行くときすぐトイレに行きたくなってしまう。A朝の集会など全校が集まって何かをするとき、トイレに行けないという恐怖を感じて、なおさらトイレに行きたくなってしまうこと。B授業中も抜け出してトイレには行けないよなぁと感じてやはりなおさらトイレに行きたくなること。今どき、授業中トイレに行かせてくれない先生もいますし…。以上が主な症状です。きっとまだまだ色々とあったと思いますが…。とにかく四六時中トイレのことばかり考えていました。まだ小学生なのに…。本当にかわいそうな自分でした。友達にもこんなことは相談できないし、きっとわかってはくれない。本当に大変でした。

 こんな嫌な悩み事をかかえたまま、ついに私は中学生になりました。環境が変わり、ますます緊張してもっとひどくなっていきました。授業は集中できないは、あいかわらず集会などでトイレに行きたくなってしまうは…。中学生になると定期考査がありますよね。テスト中もあのしーんとした雰囲気に緊張してテストの問題を解いているひまはないほどトイレに行きたくなってしまい、冷や汗はかくは…中学生にもなると身も心も大人に近づいていきますから、周りの目がどうしても気になってすごくトイレに行きづらかったです。あとは友達とどこかへ遊びに行ったりするとき、はっきりいって全然楽しめませんでした。なぜかというと、ご存知の通り、やはりトイレのことばかり気にしているからです。

 中学二年生頃でしょうか、少し症状がやわらいできたかなと思いました。生活も安定していたし、毎日が充実していましたし、このまま治ってくれるかなとも思いました。

しかし、中学三年生になるとまた症状は元に戻りつつありました。人生初の受験生にもなりますと、またとたんにすごい不安と緊張が私をおそってきました。勉強もがんばらなくてはいけない、何もかもがんばらなくてはいけなかったこの時期。本当につらかったです。おかげで授業は身にならない、勉強の成績は落ちていくばかり、中学校最後の定期考査では過去最低位を記録し、本当に悲惨な状況でした。内申点も一年生の時と比べると七つは落ちました。友達にはトイレの回数が多くてあやしまれるは…。何もかも失いそうで、人生で一番嫌な時期でした。

 そんな苦しい時期の中、私は受験をむかえました。五教科の試験科目、試験中トイレに行きたくなったらどうしよう…。またいつもみたいにこんなことばかり考え、試験を受けていました。案の定、試験は全然できず…。もう最悪でした。こんなに大切な受験シーズン、普通の受験生だったら、きっと勉強のことしか考えてなかったと思います。ですが、私の場合は違いました。とにかくテスト中トイレに行きたくない恥をかきたくない。そんなことばかり考えていました。本当におかしいですよね。トイレのことばかりにこんなに神経を使うなんて、本当にバカみたいです。

 私の受験は一言でいうと「トイレ」で終わってしまいました。結果的にずっと目指していた第一希望の高校にも落ちてしまい、私には何もありませんでした。人生の絶望だったと思います。初めて地獄を見た感じでした。私は受験に失敗したおかげで私の症状は今までにないくらい悪化しました。私はこの病気になってから人生ぐちゃぐちゃ。良いことは何一つありませんでした。高校生活は不安ばかり、電車、バスに乗っての通学なので、途中で抜け出してトイレなんかに絶対行けない。私は初めて思いました、「もうダメだ。このままでは私はもう学校に行けなくなってしまう」と。

 限界を感じて私は家族に相談しました。母からの紹介で私はK先生から診察をうけることになりました。K先生は、私が症状を話す前から私の症状をズバリとあて、お薬を処方してくださいました。お薬を飲み始めてなんと約一週間で効果はあらわれました。今までの症状がうそだったかのように私は変わりました。本当にびっくりしています。もうこれからは電車もバスも怖くない。授業も集中して受けられるようになりました。そのおかげで私の成績ものびました。

 私は今本当に幸せです。勉強もクラスでトップになりました。これからの人生に希望があります。治療をしてくださったK先生に出会えて本当に良かったです。ありがとうございました。

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