睡眠薬と飲酒

 昔からアルコール類を寝酒といって睡眠薬代わりに使う人がいる。酒を飲んだだけでは眠れないからといって睡眠薬と一緒に飲む人がいるが、これは大変危険なことジャ。
 そもそも、睡眠薬とアルコールの薬理作用は大変よく似ておる。どちらも神経の興奮を抑え、不安を和らげ、心を落ち着かせ、筋肉をたるませ、そして寝入らせる作用があるのじゃ。アルコールと睡眠薬を一緒にとると1+1=2ではなく1+1=4の相乗作用となり思わぬ効果が出て危険なのじゃ。
 酒の酔い方がひどくなったり、翌日に強い眠気が残り集中力が出なかったり、ひどい場合には飲酒と服薬前後のことを全く忘れてしまうといったこともあるようじゃ。
 翌日の運転技術にも大きく影響する。図は運動機能の障害度を調べた実験の結果である。なにも飲まなかった時を0とすると睡眠薬を飲むだけでも少し運動機能は障害される、その程度はアルコールの方がずっと大きく両方を同時にとるとさらに激しくなる。その理由として、アルコールも睡眠薬も脳内で働く部位が全く同じで、アルコールは睡眠薬の作用にスピ−ドをつけることがわかっておる。いずれにしろ、不眠にアルコールを使うよりは睡眠薬の方がずっと安全であることだけははっきり言っておこう。

Que Sera Sera VOL.11 1998 WINTER