向精神薬の話(2)

 三環系抗うつ薬

 前回、向精神薬はシナプスにおける神経伝達物質の働きを調節して効果を発現するお話をしました。
では、実際にうつ病の薬―抗うつ薬―はどのようにして効くのでしょうか?端的に言えば、シナプス間隙で働く神経伝達物質の働きをよくすることによって効果を発現します。
その神経伝達物質はセロトニンとかノルアドレナリンといったアミン類が主です。
神経終末からシナプス間隙に放出された神経伝達物質の何割かはまたもとの神経終末に再取り込みされ再利用されます。
三環系抗うつ薬はこの再取り込み作用をストップさせ、シナプス間隙にある神経伝達物質の量を増加させ、神経伝達を活発にします。
主にセロトニンの再取り込みを阻止するクロミプラミン(アナフラニール)といううつ病に効果のある薬は抑うつ気分に効果があります。
主にノルアドレナリンの再取り込みを阻止するマプロチリン(ルジオミール)という薬はやる気を高めます。
イミプラミン(イミドール)はセロトニンにもノルアドレナリンにも作用します。
セロトニンの再取り込みをストップさせる薬はパニック発作にも効果があります。
まもなく発売されるSSRIはもっぱらセロトニンだけの再取り込みをストップさせる薬です。

Que Sera Sera VOL.14 1998 AUTUMN