話題のSSRIについて

 今、日本で最もたくさん個人輸入されている薬をご存じかな?あちらの方で早期老化を来している悩める男性を救うという、かの有名なバイアグラじゃ。
 その次に多く輸入されている薬はプロザックという“人生を幸せにする”という謳い文句の向精神薬だ。 これは本来うつ病の薬だが、そのほかに、パニック障害、強迫性障害、摂食障害などにも効果があるといわれている薬ですぞ。
 このくすりはSSRI(selective serotonin reuptake inhibitor)、すなわち、選択的セロ卜ニン再取り込み阻害剤、といわれている。 要するに、脳内の不安や情動に関与する神経伝達物質、セロトニンの働きを高める作用だけを選択的に持つ薬である。
 この薬は夢の薬のようにもてはやされているが、この作用機序を持った薬はクロミプラミン(アナフラニール)やイミプラミン(イミドール)である。
 これらの従来の抗うつ薬はセロトニン以外のほかの神経伝達物質にも作用するので、いろいろな副作用が出たが、SSRIは選択的にセロトニンだけに作用するので副作用が少なく、手軽に大量使用できるという利点がある。 パロキセチンというSSRIの国内での治験結果が最近出た。 パニック障害にはなんと80%以上で有効という驚異的な結果であった。 しかし、SSRIは夢の薬のようにもてはやされているが、基本的には今までの薬と同じ薬理作用なのである。 特効薬だからといってただ飲めば治るというものではない。
 専門医の診察を受け、服薬量や他の薬との組み合わせなど、正しく匙加減を受けることがやはリ一番大切じゃ。

Que Sera Sera VOL.15 1999 WINTER