パニック障害に喫煙は関係するか?

 最近、21歳から30歳の若い人で毎日たばこを吸っているとパニック障害の発症率が13.13倍も増加するという研究論文が出た。(Breslaw & Klein,Arch Gen Psychiatry1999;56:1141)。この比率を15歳から54歳までの幅広い年齢層の集団で調べてみても2.93倍は増加しているという。また、喫煙者のうつ病の発病率はそうでない人の倍だという報告もある。
なぜ、たばこを吸うとパニック障害が多くなるかは今のところ不明ジャ。
たばこを吸うと慢性気管支炎や肺気腫ほどでなくともその軽い状態になりやすい。
これが慢性的な呼吸不全を引き起こしパニック障害の誘因となるという説や、喫煙によリ一酸化炭素が増え、脳内で窒息警報が出てパニック発作が起こるという説もある。
脳の中のニコチン・レセプターが喫煙により刺激され、瞬間的には抗不安作用が出るが、その後すぐ、リバウンドして逆に不安を引き起こしパニック発作を起こりやすくするという考え方もある。
喫煙はその他にも脳内のMAOという酵素の働きを阻止する作用があり、一時的には抗うつ薬と同じ様な働きをするが、すぐ逆転作用が出てしまうという説を唱える学者もいる。クリニックに来ている患者さんで、禁煙をしたらパニック発作が軽くなったとか、パニック障害が治ってしまったという人もいるのジャ。
たばこを吸うことは百害あって一利なし。
さあ−今日から禁煙ジャア!禁煙ジャア!

Que Sera Sera VOL.22 2000 AUTUMN