流水先を争わず

 今回も中野東禅和尚の禅語を紹介しますジャ。「流水先を争わず」とは、この世を「川」にたとえるとしたならば、人それぞれの流れ方でいいのではないですかといったほどの意味ですゾ。同期で会社に入っても、Aさんは10年で課長になるし、Bさんは10年経ってやっと係長、Bさんは劣等感に苛まれるかもしれませんネェ。そんな時、Bさんがニコニコしておられたら、それは悟りを開いた大人物ジャー!。水の流れは速いところと遅いところとがあるが、それらが争うのではなく、各々が自分の立場を守って大きな流れとなるのである。これを理解することは凡人には難しいかもしれないが、山に上って高いところから川を眺めれば、凡人にもその水の流れがよくわかるワ。達観し、流れに任せて生きることもこの世では必要なんジャ。“何をくよくよ河端柳 水の流れを見て暮らす”で行きましょうヤ!

(中野東禅、凡人のための禅語入門 幻冬舎)

Que Sera Sera VOL.48 2007 SPRING