人の悪ろき事はよくよく見ゆるなり。
我が身の悪ろき事は覚えざるものなり(蓮如)

 蓮如は浄土真宗の中興の祖です。これは、没後、弟子たちがまとめた「蓮如上人御一代記聞書」に記されています。「他人の欠点はよく目につくものだが、自分の欠点にはなかなか気がつかないものである」という意味です。人間はつねに自己中心的で、誰もが「自分はいつでも正しい」と思っています。いつも自分を物差しにしているので、他人の言動に対してなかなか納得できないというわけです。自分の欠点に気づかない人は、人間関係に苦労します。時々、第三者的に自分を見つめることが大切ですね。そして、「ありがとうと言われるように、言うように」で行動すると良いですね。

(中野東禅著 凡人のための禅語入門 幻冬社 より)

Que Sera Sera VOL.50 2007 AUTUMN