河に栖んで力あるものは、
陸に登って悩む(栄西)

 この言葉は、栄西の主著「興禅護国論」に書かれています。「自分にない能力を持つ者をうらやむな」と言うことを述べています。私たちは、家柄、収入、容姿、学校や会社の成績など、さまざまの部分で自分と比較して他人をうらやみます。その心は人間関係にヒビを入れてしまうこともあります。人それぞれ良いところも欠点も持っています。まったく同じ人間はいないのです。「自分は自分であり、他人と違って当然」という意識を持ち、「比較する」心を捨て去りましょう。自分らしく精一杯生きることが、良い人間関係を作り、実りある人生につながるのです。

(中野東禅著 人生の問題がすっと解決する名僧の一言 三笠書房 より)

Que Sera Sera VOL.57 2009 SUMMER