人皆己々得たる所一つあるものなり(沢庵)

 この一節に続き、“その所得をとりて、これを用うれば、すなわち人を捨てず”ときます。つまり、“人は皆それぞれの長所がある、その生まれつき備わった長所を見きわめて生かしていったら、
役に立たない人なんか一人もいない”となります。「あなたは尊い仏」だと言っているのです。家庭では、わが子の長所を見きわめて生かすのは、親の使命なのです。わが子は尊い仏です。沢庵は江戸初期の臨済宗の僧、これは沢庵の「東海夜話」にある一節です。

(中野東禅著 人生の問題がすっと解決する名僧の一言 三笠書房 より)

Que Sera Sera VOL.58 2009 AUTUMN