人のあやまちをいうほどのものは、
わが身に徳なき折りのことなり(明恵)

 明恵は鎌倉初期の密教、華厳経、禅などを修めた僧です。この言葉の後に、「徳というは得なりとて、徳を好む人にあるなり」と続き、「人の過ちや欠点をあげへつらう人は、自分自身に徳のない人だ。徳とは“得”と書き、人間らしさのことですから、“得”を得るのは、人間らしさを好む人である。」ということだそうです。徳とはよい行いをすることですが、広い意味で「人を助ける気持ち」と理解できます。

(中野東禅著 人生の問題がすっと解決する名僧の一言 三笠書房より)

Que Sera Sera VOL.64 2011 SPRING