ココロの不安は予防できる 軽うつは怖くない!

うつ状態が2週間以上続いたら専門治療に身をゆだねよう!

attiva 2003年7月:p83-89

ちょっと気分が滅入るという程度なら、休養を取ったり気分転換をして乗りきることもできるが、その状態が2週間以上、毎日続くようなら、うつ病にかかっている可能性も。放っておくと治療に時間がかかったり、慢性化する心配もあるので、心のシグナルに気づいたらすぐに専門家に相談しよう。でも、どんな治療をするのか、ちょっと不安という人のために、クリニックとカウンセリングセンターを取材してみた。

脳内で情報をやり取りするときに、媒介となるのが神経伝達物質。ところがうつ状態になると、この神経伝達物質のバランスがくずれてしまう。うつ治療で服用する抗うつ薬には、このバランスを整える働きがある

 

早期に治療をすれば うつは100%完治する!

 もしかして私って軽うつ? と思ったとき、専門家の助けを受けるためにまず訪ねたいのがクリニック(病院)だ。「うつ病は精神症患のひとつですから、精神疾患を専門的に診ている.医療機関で診察を受けてください。精神科、神経科、心療内科など表に出ている科名は違っても、受けられる診察や治療に変わりはありません。精神科という名前がつくとちょっと気が引けるという人は、内科の領域に属する心療内科の方が行きやすいかもしれませんね」

 と、赤坂クリニックの貝谷久宣院長。実際に同クリニックを訪ねてみると、大きなテーブルとデスクが置かれた個室は、診察室というよりゆったりした書斎といった感じで、病院っぽさがなくくつろげる。ここで、あらかじめ記入しておいた問診票やSDSテスト(うつの度合いを判定するテスト)の内容を見ながら診察が行われる。

 「SDSテストの結果が40点以上ならうつ、40点以下なら軽うつといわれますが、これはあくまでも目安。どんな症状があるかなど、患者さんの話を聞いてからうつ度を判断し、薬を処方します。うつ病は、正しい診断を受け、適した薬を飲めば約80%が完治するし、早期に治療を受ければ治癒率は100%です。治療は薬物療法が中心で、さらに生活改善や精神面でのアドバイスも行います。当クリニックはカウンセリングルームも併設していますから、希望により心理的治療も可能ですよ」

 うつは、繰り返すほどクセが強くなるので早期治療が大事、と貝谷先生。

 「軽い時期に治せば再発の可能性も少なくなります。自分をよく観察し、食欲がない、眠れないという症状があれば、この程度のことで、とひとりで悩まずに専門家に相談しましょう。多くの人が気軽に精神科を訪れる時代ですから、安心して足を運んでください」

 クリニックでの治療には保険が適用されるので、金銭的な負担が少なくてすむということも覚えておこう。


処方する薬の内容をわかりやすく説明するために、診察室には薬のパッケージが貼られたシートを用意。種類の多さにビックリするが、その人によって合う・合わないがあり、症状に応じて服用する薬は適宜変えられる。うつ病の治療には、主に抗うつ薬が使われる。

食欲はあるか? 睡眠時間は? など問診票の内容は、内科などで書くものとほとんど変わらない。同クリニックでは事前に郵送してもらい、自宅でゆっくり記入して持参することも可能だ

「最近の若い女性には、気分が滅入っていてもちょっとしたきっかけで明るくなる、アップダウンの激しい軽うつが多いのが特徴です」

心療内科・神経科 赤坂クリニック理事長

貝谷 久宣