野中映子 (仮名)
 クリスマスコンサートを終え、帰宅した私は心地良い疲れを感じながらこのまま布団にくるまって眠りに着いて、コンサートの続きをもう一度夢の中で楽しみたいと思いながらも、今日のコンサートで私なりに感じた事を、気持ちが冷めないうちにお話したいと思い、ペンを取ってみました。

 沢山沢山拍手した私の手のひらは暖かいです。そして心の中も暖かいです。

 今年は4回目を迎えるクリスマスコンサートでした。私は2回目から参加させていただき今回3度目の出演となりました。毎回コンサートの幕が上がるまでは、緊張と不安を感じますが、コンサートを企画され、進行して行くスタッフの方、そして出演者、会場にいらして下さるお客さん達のお陰で、コンサートを終えた私はいつも幸せな気持ちで会場を後にする事が出来ます。

 私が赤坂クリニックを、初めて来院したのは、1999年の夏になる頃でした。鹿児島から東京へ嫁いで丁度1年目の頃、久しぶりに、発作が起きました。近くの内科で診察してもらうと、予想していた通り「どこも悪くないので帰って下さい。」と言われ、そのまま本屋へ行き、そこで貝谷理事長の書かれた本を見つけ、すぐに病院へ予約を入れてもらいました。

 ”パニック障害”とそこで初めて診断してもらい、カウンセリングと出していただいたお薬で、良くなって行きました。何回目かの来院の時、コンサートのお知らせの貼り紙を目にしすぐに受付の方に「コンサートに出演させて下さい。」 と申し出ると、「CDの製作にも参加されませんか?」と言われ、なんてラッキーな…と飛び跳たい気持ちでした。こういう事が、クリスマスコンサートに出演させていただくきっかけでした。

 4回目を迎えた今年も、コンサートでお友達になった方達との再会を懐かしんだり、喜んだりしています。このコンサートで色んな方に出会い、色んな音楽に出会い、そして、PDである自分が、演奏する事へのプレッシャーを感じながらも、ステージの上で得られた充実感や満足感は、何よりもの喜びです。
 今回もステージは、色んなジャンルの音楽でにぎやかでした。日頃PDと戦い、一人一人が、発作で苦しんだり、不安を感じたり悩んだりして来たはずなのに、ステージで演奏する姿は、とても輝いて、誇り高く見えます。そんな中、一人のJ君という青年の姿が目をひきました。J君の初めてのステージは、緊張しながらも一生懸命にギターの弦をつまびき、ベテランメンバーに必至で付いていこうとするひたむきさに心を打たれました。

 長い間、自分だけの殻にこもっていたJ君が今日は自分のカでその殻を破り、曲が進んで行くうちに、J君自身がステージを楽しんでいく姿に私達は、とても感動しました。

 会場からステージを見守ってくれていた彼のお母さんへの何よりのクリスマスプレゼントだったに違いありません。お母さんの涙は、J君への優しさ、有り難うよく頑張ったね、色んな気持ちが混ざり合った涙だったのでしょうね。J君、今日のお母さんの涙を一生忘れないで下さいね。気が付くと、私の目からも涙がこぼれていました。

 冬の夕暮れの帰り道はとても寒いでしたがクリスマスコンサートで、気持ちが、暖まったせいでしょうか、久し振りに一人で電車に気分良く乗れました。感動する事は ”心のお薬”だと思います。

 来年のコンサートも又、沢山の感動を楽しみに心待ちにしています。

 音楽で勇気をもらい、心が癒され、明日へ向かって前向きになれる私がいます。音楽をやってて、そしてコンサートに参加させてもらえて本当に良かったと心から思います。


 最後に、クリスマスコンサートを主催して下さった貝谷理事長、企画して下さった関係者の皆様に、この場をお借りして心より御礼申し上げます。
平成13年12月24日
ケ セラ セラ<こころの季刊誌> VOL.27 2002 WINTER