性格の自己評価
 パニック障害患者は自分の性格を一体どのように考えているのでしょうか? 筆者のクリニックを初めて受診する患者さんは、種々なことを質問形式で答えていただく問診票を渡されます。その中で自分の性格について答える項目があります。あなたの性格はどのような性格ですかと急に聞かれてもすぐ的確に答えられる人は少ないので、22項目の性格特性について二者択一で答えられるようにしました。

 なごやメンタルクリニックを受診した、男性62名、女性94名の患者さんに答えていただいた結果を図に示しました。2倍以上の差が出た項目を多い順に示しますと、敏感(71%)vs鈍感(14%)、親切(69%)vs無関心(13%)、協調的(69%)vs自己中心的(13%)、おしゃべり(57%)vs無口(25%)、社交的(55%)vs非社交的(25%)でした。

 もう少し平たく述べますと、パニック障害の患者さんは自分のことを、過敏であるが、人がよくおしゃべり好き、そして社交性があり協調的であると考えているようです。この中で著者が納得できる傾向は敏感、親切であることとおしゃべりであることですが、反対に筆者の予想に反したことは、自分のことを自己中心的と見なす人が少なかったことです。パニック障害の患者さんは理詰めよりも情動的に物事を判断する人が多いようです。ですから多分、自分の自己中心的な部分を客観的にみることができないのでしょう。もちろん、全部の患者さんが自己中心的というわけではありません。遠慮深く好感の持てる患者さんが大多数ですが、一部の患者さんの自己中心性が目立つだけなのでしょう。

 アゴラ会の世話をされている大野さんは、毎日毎日いろいろな患者さんから電話で相談を受けています。彼女は「先生!自己中の人はイヤ…そのような人にはもう本気で相談に乗らないことにしました。そんなことをしていたら、こっちが持たなくなります。」と言っていました。

 この文章を読んで耳の痛い患者さんもいるかもしれません。乗り物・外出恐怖症からの快復の遅い患者さんの一部には、物事を客観的に見られず自己中心的と思われる患者さんがいます。
医療法人 和楽会 理事長 貝谷 久宣