マインドフルネス 蓼科リトリート体験記 3
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夕食後、護摩焚きをして、初日夜同様、ビデオ鑑賞をしました。先程、申し上げましたように、NHKのスーパープレゼンテーション、ハーバード大学で最も長期に亘る、70年以上の研究テーマである「幸せについて」です。このビデオでは、1940年代、第2次世界大戦前、アメリカ人約650名に協力してもらい、彼らのその後の人生を定期的につぶさに記録したそうです。金持ち階級、貧乏人階級、それぞれから選び、人生を辿る。成功し、アメリカン・ドリームを実現した人もいるし、没落した人もいる。平凡に終わった人もいれば、大統領になった人も1名いたそうです。
そこで、彼らの所得・財産、地位、友人関係、家族関係、会社、会社関係、その他人間関係など全て年度毎に調べ上げたそうです。その結果、人間にとって、最も幸せに感じることは、所得、財産、学歴、地位、名誉などではないそうです。若い頃、多くの人々がそれらを追い求め、努力しますが、幸せには全く無関係だという結果だそうです。
では、何が、人間にとって、最も幸せのか?
それは、人間関係、人と人とのつながりに満足されている人が最も幸せだという結果になったそうです。人と人とのつながりに最も労力を費やしている人の方が、幸福度が高いという結果です。大衆の中でも孤独を感じることがあり、ひとりでいても人とのつながりを感じる人もいる。友人の数やSNSのフォロアーの数などとは関係ないそうです。
では、私は、このビデオを見たとき、さて、人と人とのつながりが満足しているとは、どういうことなのかと疑問に思いました。司会者がこのことについてハーバード大学の担当教授に質問してくれました。その答えは、人と人とのつながりが満足していると本人が実感している状態だという回答で、私としては、全く腑に落ちませんでした。ところが、就寝前のシェアリングで、某聡明なご参加者のおひとりが、満足する人と人とのつながりって、僕は、本音を言える間柄、もっと言うと、弱音を吐くことが出来る間柄だと思うと言ってくれて、とても腑に落ちました。あ~、本音、弱音を吐ける人がどれだけいるかが、人間の幸せなんだ。と考えると、とても良く理解できました。これも、リトリートならでは、といえます。
本音・弱音吐ける力をいかに磨くかも大事だと思いました。誰にでも、本音・弱音を全て曝け出して吐くことは出来ない。でも、ある程度なら出来るかも。それと、吐いても良い人がいたら、その人は、本当に大事にしないといけない。そういった努力を私は怠っていたかもしれないと、とても反省しました。今後は、努力しよう。そう誓いました。同時に、ひとりでいても、人とのつながりを感じることが出来ると素晴らしいとも思いました。未だよく分かりませんが、例えば、神仏やご先祖様、自然、地球、宇宙などとの対話でしょうか。
さて、2日目の就寝時間となりましたが、その前に、夜、約40分、就寝前に、私の個室でひとり冥想していました。最後10分前位でしょうか。突然、毘沙門天王のような怖い神仏が大きな刀のようなものを持って、私に近づいてきました。しばらく、逃げ続けてましたが、その神仏が逃げるなと怒鳴るので、大人しく坐していました。すると、その毘沙門天王のような神仏が大刀を振りかざし、私の背後から、脳天から背中にかけて、大刀を振りおろしました。とても恐ろしく、私が完全に真っ二つに割れるかと思いきや、後頭部から背中半分まで割れて開きました。その中にもうひとりの私が居て眠っていました。あ~、これは、蝉の抜け殻だ。今の私は、蝉の抜け殻。その中に、本当の私がいる。その本当の私がこれから外へ出るんだ。という感覚を味わいました。今まで体験したことがないような不思議な体験でした。
文中、貝谷先生が普段診察やマインドフルネスのご指導ではお話頂けないエピソードもお聞かせ下さると申し上げました。ひとつだけお伝えします。それは、今回の蓼科リトリートの建物を購入に関しての経緯です。この建物は、昔の某コーラスグループ・サウンズ・バンドの方がペンション経営をするために建てたそうです。一方、貝谷先生はドイツに奥様と一緒にお若い頃、留学された経験がおありのようです。ドイツ留学時に、あるドイツの建物を見て、素晴らしいなと思い、奥様が絵に描いていらして、その絵画をお持ちでした。ドイツ留学からの帰国後、とある経緯で、その某コーラスグループ・サウンズ・バンドの方が精神的な障害者となり、ペンションを手放したい。ついては、貝谷先生に購入してほしいとの話があった際に、奥様と蓼科に建物を下見に来たとき、お二人で驚いたそうです。あっ、この建物は、ドイツで見たことがあると。そう、それは、奥様がこんな建物が欲しいなという念い、願いを込めて描かれた絵画でした。そして、それは、お二人の夢であったとのことです。
夢は、念い描けば、必ず実現する。そして、人のご縁、つながりは、とても大事だと。夢とご縁は大事にしなさいという教訓を分かりやすく教えて下さったエピソードです。冒頭、蓼科リトリートの建物を見たときにインスピレーションを感じたと申し上げました。それは、男子たるもの、この位の建物を持てる位、頑張らないといけないな。夢とご縁、つながりを大事にして、その念いを実現させる。この建物は、その象徴でした。きっと私は、その象徴としての念いに、インスピレーションを感じたのだと気づきました。そして、この元ペンションの建物は、かような経緯により、我々のような患者が使用するのが最も良いのだとの貝谷先生のお言葉に無償の愛を感じました。
さて、ここまでご一読下さった方には、長い文章にお付き合い下さり、心より感謝致しております。私は、まだまだ、マインドフルネスでは、ひよっこです。まだまだ修行が必要です。それは、毎日毎日マインドフルネスを実践し続けることだと考えます。私が私自身の殻を破り捨て、一皮むけるように、明日から、何度失敗しても、何度でも、再度、私のマインドフルネスを、一からつくりあげる覚悟が大事であり、それを実際に実践し、精進し続けることが肝要だと学んだことが最大の収穫かもしれません。ただ、本当に多くの大事なことを気づき、学ぶことができました。とても貴重な3日間でした。

さあ、明日からの人生に、いかに活かすことができるか?古い抜け殻から脱して、新しくなって大空を羽ばたけるか?

最後に、私が上述のようなことを要約して3日目最終日のシェアリングで皆さんに申し上げた後、貝谷先生の奥様がおっしゃってくださった一言が忘れられません。その一言をお伝えし、この2016年夏の蓼科リトリート体験記を締めくくりたいと思います。

「あまり偉くならなくていいのよ。身の回りにいる人達が楽しく喜んでもらえる人になりなさい。」

追記 私にとって、おそらく、一緒にご参加下さった8名全員の方々にとっても、同じように感じて下さっていると思います。このリトリートは、プライスレス。。。つまり、お金に換算することの出来ない、極めて貴重な体験でした。
貝谷先生と奥様、洋介先生と明日香先生ならびに小さな先生方、小松先生、岸野先生、スタッフの皆様方、本当に筆舌尽くしがたい、素晴らしいリトリートを企画、運営して下さり、また、数々の教えをご教授下さり、皆様の優しさ、温かさが身に沁みて、感謝の言葉が見つかりません。このような素晴らしいリトリートを今後も継続して下さるよう心より願っております。そして、多くの患者さん達がマインドフルネスによって救われることを切に願っております。

 

以上

Sさん(仮)

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