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なかなかやる気が起きない時(その4)

ケセラセラの63号、65号、66号に同じ題名でコラムを書きました。

→和楽会ホームーページ ケセラセラ

今回は、そのシリーズの四回目になります。今回は、このテーマに関連して、ある本の内容を少しご紹介したいと思います。

<やらなければならないことがあると、ほかのことがしたくなる>
アメリカの有名な心理学者、哲学者であるウィリアム・ジェームズ(一八四二年~一九一〇年)の著した『心理学』という本が、岩波文庫から上下巻に邦訳されていまして、しばらく前にこの本を読みました。一八九二年に書かれた専門家向けのかなり古い本なのですが、現代にも通じる示唆に富んだ内容にあふれていました。
その中で「第十三章 注意」の項に書かれていたことを、まずはご紹介しましょう。
注意ということは心理学的にどういうことかについて述べられ、注意の種類(『受動的、反射的vs能動的、有意的』など)について説明されます。そして能動的あるいは有意的注意(いわば意識を集中するということです)には、努力を要するということが述べられて、さらに、気が重くなるような対象(気が乗らない仕事であるとか、家の片づけであるとか、試験勉強などなど)に対して注意を持続することは、非常に困難なことであって、人はできるだけ、そこから気を紛らそうとするものであることが説明されます。そして具体的な事例が示されます。「…(この傾向は)脳が疲労しているときには特に著しい。人は今しなければならない仕事の厭いとわしさから逃れるために、どれほど些細で無関係の口実であってもそれに跳びつくのである。…椅子を置き直してみる、床の上の塵を拾ってみる、テーブルを並べてみる、新聞を取りあげてみる、何でもよいから目にとまった本を手に取ってみる、爪を切ってみる、…要するに予め何の考えももたないで何とかして午前中を費やそうとする…」そして(ジェームズ自身も)大嫌いな午後からの形式論理の授業の準備をすることを避けようとするのだそうです。これを読んでいて、私も学生時代に試験が近づくとなぜか小説や漫画が読みたくなって試験勉強を先延ばしにしてしまっていた
ことを思い出しました。

<注意を持続するための対策は?>
人は変化しない対象に連続的に注意を持続することは決してできないことであって、その対象に心を向け続けるためには、絶えず注意の更新が必要であるとういことが説明され、注意を持続するための対策が紹介されます。「われわれがもし注意を同一対象上に持続しようとすれば、絶えずそれについて何か新しいものを見いだすように努めなければならない。…そのトピックを絶えず表から見、裏から見るなどして、そのさまざまな側面や関係について次から次へと考えることである。」 一見つまらなく思えることにも、いかに興味あることを見いだすかということなんでしょうね。少しゲーム感覚を取り入れて、目標が継続できた場合にはその都度、ポイントをつけるなどというのも良いのではないでしょうか。

<行動を習慣化する>
そして、もう一つヒントになることが、この本の「第十章 習慣」の項に書かれていました。習慣というものは、新しい神経回路が脳の中にできあがって、あまり余分なエネルギーを使わなくても行動ができるようになった状態(自然に体が動く状態)であり、良い習慣にしろ悪い習慣にしろ繰り返される傾向があるといったことが説明されています。良い行動が習慣化されていない場合は、その行動をとろうとするたびに意志の力を要し相当のエネルギーを使うわけで、強い疲労感に襲われることになります。ですから、良い行動を習慣化することが非常に大切であることが説かれます。気が重いことも毎日の行動として習慣化されれば、大したエネルギーを使わなくても、自然にできるようになるとい
うわけです。

<良い行動を習慣化するために>
そのためにはどうしたらよいか。この本では、次の四つのことが推奨されています。 一.新しい習慣を獲得したり、古い習慣を打破するときには、できるだけ強固かつ断固とした積極性をもって始める。 二.新しい習慣があなたの生活の中にしっかりと根を下ろすまでは、例外の起こることを許してはならない。(今日は疲れたからお休みにして明日やることにしよう…というのはだめということです。少しずつでもいいので定期的に継続してやるということです。) 三.まさに最初に動作できる機会を捉えて行動に移す。(決心しただけではだめで実際に行動に移すということが強調されています。決心が、運動的効果を生み出す瞬間に、脳に変化が生じて行動が習慣化されるようになるのだということで、まずは行動することが大事なわけです。) 四.毎日少しずつ、とにかくも練習をすることによって、自分自身の中に努力の能力を活発に保つようにする。毎日あるいは一日おきに、自分がしたくないことを、ただそれだけの理由で行う。それによって試練に耐える気力を持ち、意志の力の鍛錬ができる。

<自分を変える教室>
今回、このテーマについて一口コラムを書こうと考えていたころに、ちょうどある患者さんから「先生、やる気を出すのにすごく役に立つ本がありましたので、是非、先生も読んでみてください」と、次の本を紹介されました。(とても美人な)心理学者のケリー・マクゴニガルの著作で『スタンフォードの自分を変える教室』という本です。今、ベストセラーで、本屋さんにたくさん置いてあります。この本の前書きに誘惑や依存症に苦しんだり物事を先延ばししたりやる気が出なかったりして困った経験のある方々つまりすべての人に本書を捧げます。とあります。早速読んでみました。大変参考になることがいくつもありました。私自身、実践してみたところ、いつもよりは少し早めに今回の一口コラムを仕上げることができました。次回は、この本の内容について少しご紹介したいと思います。こちらは読みやすい本ですので、興味を持たれた方はどうぞ読んでみてください。

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