健康生活救Q箱


活き生きクリニック 2005.11 vol.1

冬になると眠くて仕方ない。
体がだるくて、やる気が起きません。


Q:毎年冬になると、とても眠くて、多いときには14時間も寝てしまうことも。布団からなかなか出られず、体がだるくて何をする気にもなれません。これは病気なのでしょうか?

A:誰でも暑い夏に比べると、寒い冬は活動性が低くなる傾向にあります。しかし、あまり極端に意欲が低下したり、異常に眠くなったり…そして、その状態が春になると治まるという人は、『季節性感情障害』の可能性があります。

 多眠・意欲低下・倦怠感が特徴

 季節性感情障害というのは、うつ病の一種です。秋から冬にかけて、体がだるくて何もする気になれない、疲れやすくて気分が憂うつになる…という症状が出てくるのが特徴。一般的なうつ病とよく似た症状ですが、うつ病の代表的な症状に「不眠」「食欲不振」があるのに対し、季節性感情障害の場合には、その逆に睡眠時間が異常に長くなったり、食欲も増して過食の傾向になることがよくあります。また、北欧など北緯の高い地域ほど発症率が高いのも特徴で、日本では太平洋側より日本海側の地域のほうが発症率も高くなっています。このことから、この病気は1日のうちで生物が日光を浴びる時間が大きく減少する地域に多く見られると認識されています。つまり、日照時間や体内リズムが大きく関係しているのです。

 2年続けて症状が出たら診察を

 この病気の治療は、一般的なうつ病と同様に、抗うつ剤や抗不安薬による薬物療法が中心ですが、そのほかに高照度光療法などが施されます。2,000〜2,500ルクスの高照度の光を朝と夕方に1日数時間当てて、体内時計をリセットさせる治療法です。これによって症状が治まり、再発も防げるといわれています。秋から冬にかけて、同じような症状が2年以上続けて出た場合には、早めに専門医を訪ねるようにしましょう。一般的に見て、それほど多い病気ではありませんが、もしそうなら治療は早くから開始するに越したことはありません。

回答:医療法人和楽会理事長 貝谷久宣