抱負

ご挨拶
 私は京都市伏見区で生まれ育ち,岐阜大医学部に進みました。貝谷先生は当時,精神科の講師でした。ポリクリのとき,外来の患者さんにDSMの項目を示し,パニック障害を歯切れ良く説明されていた様子を今も覚えています。診断基準を使う,説明責任と透明性を大事にする,は今も私が続けていることです。
 12年間,国立肥前療養所(現在は肥前精神医療センター)にて行動療法と不安障害について山上敏子先生から学びました。行動療法を第一世代の行動療法家をよく知る先生から学ぶことができたことは今の私の基礎になっています。またアルコール・薬物依存症病棟を担当し,この経験が動機づけ面接の実践に結びついています。
 そして9年間,国立菊池病院にて不安障害と薬物依存症に対する行動療法をおこないました。また治験管理室を立ち上げ,うつ病や全般性不安障害,社会不安障害,小児の強迫性障害など10本以上のプロトコールの治験責任医師をしました。中でも強迫性障害は新患の数が年間100程度になり,三日間に集中的な行動療法を集団で行うようになりました。そしてサポートグループの“OCDの会”が回復した患者さんの中から生まれてきました。これらの仕事の中から,患者さんが求めているものと実際の日本の精神医療が提供しているものが一致していないことを知りました。強迫性障害の新患の半数以上は県外から行動療法を受けられる施設を探してこられていたのです。一方,菊池病院は不便な所にあり,患者さんに交通費などの負担を強いることになりました。
 なごやメンタルクリニックでは強迫性障害などの不安障害に対する専門的な治療を求めておられる日本全国の患者さんの希望に応じられるようにしたいと思っております。ここには名古屋という地の利があります。
 今の私は,精神科医というよりも,薬物を処方し管理もできる行動療法家と呼ぶべき存在です。例えば,安定剤や睡眠薬に依存している,やめたいという方に対して処方を整理し,飲み方を指導し,最終的に薬以外の方法でストレスに対処する方法が身につけられるようにすることができます。
 行動療法の技術は種々あります。強迫性障害にはエクスポージャーと儀式妨害,パニック障害には内部感覚エクスポージャー,社会不安障害にはShame-Attacking Exercisesなどをよく使います。これらの治療がうまく行くためには,患者さん自身が自分で行動することが必要です。それには,患者さん自身にやりたいという気持ちや理由が必要です。これを引き出す方法が動機づけ面接です。
もっと詳しく
 原井宏明の情報公開というホームページを開設しています。相談掲示板やブログがあります。ご興味のある方は,是非,一度ご覧になって下さい。
http://homepage1.nifty.com/hharai/

医療法人 和楽会 院長 原井 宏明