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コロナ禍の不安症臨床ーわれら、かく闘えり(その1)ー(ケセラセラvol.103)

医療法人和楽会 心療内科・神経科 赤坂クリニック 院長 坂元薫

世界中に立ち込めた暗雲は一向に立ち去ろうとしません。新型コロナ感染症(COVID-19)拡大により発令された我が国初の緊急事態宣言が解除された2020年5月下旬から6月にかけて我が国では一時的に感染拡大終息の兆しが見えたかに感じられたものの、7月に入り、第二波とされる感染拡大が急速に進行しました。その終息も実感できないまま次の第三波の襲来を迎えてしまい、いまだ落ち着かない日々を過ごしています。第一波から第二波にかけて国民のメンタルヘルスは深刻な影響を受けました。今回は、そのうち当科で多くの方が治療を受けられている不安と抑うつに焦点を当ててお話をしていきたいと思います

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は世界中の多くの人々の心身に多大な影響を与え続けています。COVID -19をめぐる混乱、いわゆるコロナ禍は、表に示したように大地震、津波、原発事故、台風、豪雨といった従前の災害にはないかなり特殊なストレスを人々にもたらしていると言えます。特に災害の当事者(感染者=被害者)が加害者にもなる危険性をはらんでいることはあまりに特殊です。さらに本来、災害被害者には直ちに救援の手が差し伸べられて同情の対象となり手厚く保護されるのが常ですが、COVID-19に関してはどうでしょうか。我が国では、感染を示唆する症状が出現しても直ちにPCR検査が受けられる人はむしろ少数にすぎないという問題が繰り返し指摘されてきました。

感染が判明すれば、もちろん直ちに治療的対応がとられるのは当然ですが、それは同時に隔離をも意味します。そしてややもすると忌避され、地域によっては本人のみならずその家族、親族までもが誹謗・中傷、差別の対象にもなってしまうことすらあるのも他の災害にはない点ではないでしょうか。一度感染してしまうと、もうそこには住めなくなって転居を余儀なくされるという地方もあるという話を聴くに及んでは暗澹たる気持ちにならざるを得ません。

COVID-19の医療に直接携わる人々に対して感謝を示す(実に表面的な)社会的行動がとられるその裏では、そうした医療者やその家族までもが周囲から忌避、差別の対象となっているという事態が生じていることは信じたくありませんが、あまりに深刻です。
ある大臣の思い付きで税金を投入して行われたというブルーインパルス飛行は、一部では喝采を浴びましたが、はたしてどれだけの医療者が勇気づけられたというのでしょうか?

そうした中でコロナ禍をはじめコロナ疲れ、コロナ太り、コロナ離婚、コロナ失業、コロナうつなど様々な造語が生まれました。しかしコロナ不安という造語を眼にする機会はそうは多くはないように思います。COVID-19感染拡大下で不安になるのはあまりに自明のことであったからではないでしょうか。そう考えると元々不安症 を抱える人々はCOVID-19感染拡大によりその病状を増悪させ、これまで不安症の既往がない人々にも高率に不安症が惹起されても不思議ではないように思われるのですが、実態はどうであったのでしょうか。

私は、COVID-19感染拡大が始まった2020年3月、そして政府によって緊急事態宣言が発出された2020年4月、5月、同制限が解除となった後の2020年6月の4カ月間で延べ約4000回の受診を経験しました。そのうち約30%は不安症(その大半はパニック症と社交不安症)、約35%はうつ病、約20%は双極性障害、そして15%は適応障害でした。その中にはCOVID-19感染が疑われたものの、PCR検査で陰性と判断された方がいましたが、それ以外にCOVID-19感染と同様の症状が見られたり、COVID-19に感染した方ならびにその濃厚接触者は見られませんでした。

2020年3月下旬、まるで東京五輪延期決定の発表を待っていたかのようなタイミングでCOVID-19感染者数の急増が報告され始めました。そして時を同じくして、都知事から感染拡大の重大局面であるとして、今後感染爆発オーバーシュートの危険性があり都市封鎖ロックダウン措置の可能性もありうるとの緊急会見が行われました。全く聞き慣れない横文字を多用した会見により都民を始め国民の多くは大きな衝撃を受けることとなったわけです。その直後から、スーパーには長蛇の列ができ、店内は押すな押すなの大混雑で、我先にと生活必需品を買い漁る人々でごったがえすことになりました。テレビでも繰り返し放映されたトイレットペーパーなどの棚が空になった様子はいまだ目に焼き付いて離れません。そしてドラッグストアーの前には、開店前の早朝からマスクを買い求める人々の長蛇の列ができていた光景も脳裏から離れません。そうした事態の中、診療の現場で私が見てきたコロナ禍がもたらしたメンタルヘルスへの影響については、次回お話ししていきたいと思います。

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