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本の紹介「超筋トレが最強のソリューションである 筋肉が人生を変える超科学的な理由」 第7章「筋トレに関する誤解と偏見を解消する」(ケセラセラvol.109)

医療法人和楽会 なごやメンタルクリニック 院長 岸本智数

なごやメンタルクリニックでは、4月23日に第27回不安の医学・市民講演会を、「社交不安症」をテーマに開催しました。私が社交不安症の病態と治療について概説したのち、川村学園女子大学文学部心理学科の今井正司教授をお迎えし、「集中力を整えて社交不安症を改善する」との演題で講演いただきました。
3月21日の期限をもって、東京や愛知、大阪など18都道府県に適用されていた新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置が、すべての地域で解除されたこともあり、オンラインでの視聴に加えて、人数を制限しながら現地会場でも参加していただきました。多くの方に参加していただき、皆さんの社交不安症についての理解が深まったと感じています。
しかし、10代に発症することが多いことや、性格と捉えてしまい、治療が出来るということがまだまだ知られていないこともあり、今後さらに多くの人に社交不安症のことを理解してもらえたらと思っています。

さて今回も引き続き文響社から出版の、Testosterone、久保孝史らが著者の「超筋トレが最強のソリューションである 筋肉が人生を変える超科学的な理由」の第7章、サブタイトルは「筋トレに関する誤解と偏見を解消する」についてご紹介します。
筋トレにはいまだにある種の偏見が根強いといいます。柔軟性が落ちる、競技には役に立たない、ケガをしやすくなる、やめると太る、などなど。この章では、こういった偏見についてエビデンス=根拠をもって解消しています。中でも、筋トレは不自然なトレーニングであり運動パフォーマンスに悪影響を与える、柔軟が落ちる、選手のケガが増えるといった迷信については明確に否定されています。オリンピック選手やメジャーリーガーなど現代のトップアスリートの間では筋トレはもはや常識になっており、筋トレを全くしていないアスリートを探す方が難しいでしょう。
Mortonら(2011)の研究では、5週間以上の筋トレを続けた場合、筋トレにはストレッチと同等かそれ以上の柔軟性(膝関節、股関節、肩関節)の効果があることが分かっているそうです。例えば開脚ストレッチを習慣的に行うと、最初は痛くて全然開かなかった足が慣れるにつれて、次第に開くようになるのと同様のメカニズムによる効果が筋トレにも望めるといいます。筋トレをしているからといって、長期的にみて体が硬くなる心配はなく、むしろプラスの効果があるようです。

筋トレをするとケガをしやすくなるというのも間違いです。今まではストレッチを行うことが障害予防の一番の近道と考えられていましたが、Thackerら(2004)の総説によると、運動前後のストレッチは劇的にケガの発症率を低下させるわけではないそうです。
逆に筋力不足やアンバランスがケガを招くことが分かっています。サッカー選手を対象にしたLeeら(2017)の研究では太ももの後ろ側のハムストリングスと、太もも前面の大腿四頭筋の筋力のバランスが1:0・6~0・7がベストだそうです。筋トレをするとスピードがなくなるというのも間違いです。筋肉の量と出力は基本的に正の相関があります。陸上の短距離選手はマラソン選手に比べて筋骨隆々ですし、力士の動きもすごいスピードです。
一方で、筋肉がつくとその分体重が増えるのでマラソンなどの長距離を走る競技をしている人にとっては必要以上の体重増加は競技力の低下につながる場合もあります。筋トレによる体重増加は有酸素運動と筋トレを組み合わせることによって抑制できることが明らかになっていますので、出力を上げながら瞬発力を求めるのか、持続力を求めるのか、筋肥大を求めるのか、カロリーコントロールやトレーニングの質を考えてボディバランスを考慮していく必要があります。競技によって筋肉の質が違うという研究もあり、目的に合わせてトレーニングの様式を変化させるとよいそうです。Testosterone氏は「邪魔になるほど筋肉をつけるのは相当難しいから、安心して筋トレしてくれ」といいます。

筋トレをすると風邪をひきやすくなるという説は、本当だそうです。
激しい運動をしている人は風邪などにかかるリスクが数日間一時的に通常の2~6倍になってしまうデータがあるそうです。これは「オープンウインドウ説」と呼ばれていて、免疫力という観点から見た場合に激しい運動が推奨されていない理由の1つだそうです。適度な運動ではこういったことがないようなので、Testosterone氏らは、大事な試験やイベントが近いときは、激しい筋トレや運動を一時中断して程よい運動や筋トレにすることを提案しています。
また、プロテインも適度にとれば太ることもなく、腎臓がやられてしまうというのも根拠がないそうです。摂りすぎなど何事も「しすぎ」は体に良くないでしょう。筋トレをやめると筋肉が脂肪に変わるというのもあり得ないし、体脂肪を落としてから筋肉をつけないと筋肉と脂肪がミルフィーユ状になってしまうというのも嘘だそうです。

久保孝史氏がトレーニングについてのアドバイスを最後にしています。
トレーニングは浅いフォームではなく、スクワットであればしっかりしゃがみ込むといったように、全可動域を使ってしっかりと筋肉に刺激を与えるのが良いそうです。また、自分のキャパシティを踏まえて無理のないフォームで行うことがパフォーマンス向上の近道になるそうです。さらに、無理な重量で追い込むトレーニングは時代遅れになりつつあり、最近では速度を重視したトレーニングが台頭してきており、適切な速度を意識してトレーニングをした方が筋力の増加が大きいことが明らかになっているそうです。この速度を重視したトレーニング、Velocity Based Trainingについて詳しく知らなかったので調べてみました。従来のウェイトトレーニングは「最大挙上重量(全力で1回だけ持ちあげられる重さ)」を基準にメニューを設定するのが一般的でした。
一方で、このVelocity Based Trainingは、龍谷大学の長谷川裕教授によると、「挙上速度」を基準としたウェイトトレーニング法で、オーバートレーニングやケガのリスクを回避しつつ、トレーニング効果をより効率良く高めます。1990年代、一部の研究者が大掛かりな独自の挙上速度計測装置を開発し従来のトレーニングと比較していましたが、1997年に現場で使えるポータブルな計測装置が開発され、データの蓄積と研究が急速に進みました。
スポーツ科学とテクノロジーの進化、そこから得られるデータの解析から今までの経験則が必ずしも最良ではないということが分かってきているのでしょう。とはいえ、トップアスリートにはそこまで極限のトレーニングも必要となるのでしょうけれど、健康やリフレッシュのために行う筋トレは、とにかくケガをしない、継続できることを心掛けて楽しく行うのが一番です。

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