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生活習慣と「うつ」②(ケセラセ vol.85)

医療法人和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤 尚

 

カフェイン摂取が寝つきの悪さの原因になることもあります。カフェインは中枢神経を興奮・覚醒させる作用があり、頭をすっきりさせて集中力を高めるので、仕事や勉強の合間のコーヒー・お茶が欠かせない方も多いでしょう。カフェインの半減期(血液中の濃度が半分に下がるまでにかかる時間)は3?5時間程度です。従って午後2時にコーヒー4杯を飲むと、夜中の12時になってもコーヒー1杯分程度のカフェインが体に残っている計算になり、カフェインに敏感な方の睡眠を妨げることがあります。カフェインは体内時計のリズムを遅らせるという研究もあります。カフェインは紅茶や緑茶、チョコレートにも含まれます。不眠に悩む人はカフェイン含有食品の影響についても一考した方がよさそうです。

「慢性的な不眠」の中に、睡眠相後退症候群という体内時計の不具合が原因の疾患が含まれています。夜なかなか寝付けず、典型的には朝まで眠れない、朝はなかなか起きられず、典型的には昼頃ようやく起き出せる(または朝無理に起きても眠気が強く頭がぼんやりする)、という疾患で、文字通り睡眠の時間帯が遅れているのです。若い頃から夜型で夜更かしがちだったが、最近特に夜眠れなくなって朝がつらいという方は、この疾患の可能性も考えた方が良いと思います。不眠と、午前中起きられないことが続くため「うつ」と思っていたら実は睡眠相後退症候群だったということもあります。

 

4.飲酒と「うつ」

飲酒も「うつ」に悪影響を及ぼすことが判っています。飲酒は一時的に不安を軽減して気持ちを楽にし、眠気を催しますので寝つきは良くなるのですが、睡眠は浅くなり、中途覚醒しやすくなります。睡眠の質が悪化するのです。また、アルコール依存の方はうつ病が多く、逆にうつ病の方にはアルコール依存が多いことも知られています(Pacekら、2013)。アルコール依存とは言えない程度の飲酒は問題ないのかと言うと、そうでもありません。うつ病になった方が抗うつ薬で治療を受けた際、飲酒量が多いほど回復が悪くなると報告されています(Hashimotoら、2015)。1日あたり換算でビール500?缶を1?2本、またはワイン200?400?程度でもうつの回復に影響するようです。さらに、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬の服用中に飲酒すると、副作用が増強されることもあります。少なくとも「うつ」の方は、飲酒は避けた方が良いのです。

「酒は百薬の長」の出典は中国の古い書物だそうですが、一方で徒然草には「百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ」と書かれています。酒は中枢神経系に働きかけ、睡眠や気分にも影響を与える「薬」としての側面を持っています。使い方を誤るとメンタル・身体面での健康を害することがあることを念頭に置いて頂きたいと思います。

カフェイン含有食品も、お酒も、気分をリフレッシュさせる嗜好品として昔から世界中で愛用された長い歴史があり、文化的生活に不可欠のものです。仕事を終えた夜のネット閲覧や友人とのメール交換、SNSも、現代の大切な愉しみです。しかし、昔はカフェイン含有食品もお酒も貴重品で、現代のように一般人が好きなだけ摂取することはできなかったでしょう。ろうそくや油を使ったランプ、たき火など弱く青色光の少ない照明しかない時代は、体内時計が夜の光から受ける影響も少なかったでしょう。急速に変化する生活習慣に、我々の体はまだ対応し切れていない(あるいは飛躍的に進歩した技術を適切に使いこなす術を我々がまだ会得していない)のかもしれません。

うつや不眠に悩む方は、これら現代人ならではの生活習慣を今一度見直していただければと思います。

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