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睡眠障害について(ケセラセラvol.86)

医療法人和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤 尚

 

睡眠に悩みを抱える現代人は少なくありません。一般成人の約20%が睡眠に問題を感じているという調査もあります。睡眠に関わる症状は大きく3つに分けられます。「眠れない、途中で目が覚める、眠りが浅い(不眠)」と「昼なのに眠い、居眠りが多い(過眠)」、および「眠っているとき不自然な行動・動きをする、寝ぼける(睡眠随伴症状)」の3つです。それに対して睡眠障害の分類でよく使われる国際睡眠障害分類第2版(ICSD?2)では、80以上の疾患名が挙げられています。多くの疾患に分けられている理由の一つは、それぞれ適切な治療法が異なるからです。ここでは、しばしば当院でも診断されることの多い睡眠障害―睡眠覚醒リズム障害(概日リズム睡眠障害とも言います)[睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、非24時間睡眠覚醒症候群など]、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、レム睡眠行動障害―について改めてご説明します。

1.睡眠覚醒リズム障害

体内時計の不具合から生じる睡眠障害で、睡眠相後退症候群が代表的です。睡眠相後退症候群については、すでにケセラセラ2016年夏号(No.85)でも簡単にご紹介しましたが、深夜まで、あるいは明け方まで寝付けず、翌日は昼頃まで起きられなくなる疾患です。無理に朝早く起きても眠い、頭が働かない、体がだるい、頭痛がする、などのため生活に支障が出ます。ご本人は早く寝ようと努力しますが成功しません。早く眠るために長期にわたって睡眠薬やアルコールを使ったり、その効果が乏しいために量が増えていくこともあります。これらの症状が何カ月、多くは何年も続きます。午前中は眠くて仕方がない(または起きられない)のですが、夜になると頭が冴えて眠れなくなるのが特徴です。夏休みの学生さんなど、時間の自由度の高い人が遅寝遅起きの生活をしていたが、新学期が始まると朝起きて学校に行けるようになる場合などは該当しません。但し、新学期が始まって本人が睡眠リズムを戻そうとしても朝起きられず、学校に行けない状態が続く場合はこの疾患と診断されることがあります。

睡眠は、「覚醒し続けていると脳が疲れて眠気が強くなり、眠ると回復する」という疲労回復メカニズム(専門的には「恒常性維持機構」と言います)と、「ほぼ24時間ごとに眠りやすさの高低を繰り返す」という体内時計メカニズムの相互作用で生じると考えられています.徹夜明けは眠くてしかたないが、夜が明けて昼近くになると疲れているはずなのに眠気が減少するという経験のある方は多いと思いますが、この相互作用で説明できます。睡眠相後退症候群は、体内時計メカニズムの調整がうまくいかず、睡眠リズムが遅れていると考えられます。

少量の睡眠薬だけで寝つきが良くなり改善する場合もありますが、多くの場合、遅れた体内時計のリズムを早める治療が必要です。リズムを早めるには朝に強い光を浴びる高照度光療法と、メラトニン受容体を刺激する方法があります。

高照度光療法とは、朝の起床直後に強い光を少なくとも30分、できれば1?2時間浴びる方法です。一番簡単なのは起きたらすぐに散歩に出かけることですが、窓際でぼんやり外の景色を眺めることも有効です。窓ガラス越しで大丈夫ですが、できれば窓の近くで、視野一杯に外の明るい景色が広がる状態が効果的です。太陽の直視は目に有害ですので避けてください。住宅事情や季節の関係で朝早い時刻に明るい光を浴びられない場合は、明るい光を作り出す装置を使う場合もあります。一方、夜は明るい光を浴びるのを避けた方がよいですが、こちらについてはケセラセラ2016年春号(No84)でご説明しましたのでご参照ください。

光照射だけでは睡眠リズムが早まらない場合、メラトニンというホルモンの受容体を刺激する薬を処方することもあります。メラトニン受容体を刺激すると体内時計のリズムを進めたり遅らせたりすることができることが判っています。

思い当たる症状がある場合は、日本うつ病学会のホームページ(http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/sokyoku/pdf/suimin_kakusei_rhythm.pdf)などに出ている睡眠表を記録すると睡眠リズムの遅れに気づきやすいですし、医師の診察を受ける際にも役立ちます。

睡眠覚醒リズム障害の中には、睡眠相後退症候群より頻度は少ない(まれ)ですが、体内時計のリズムが早く進み過ぎるために、夕方から夜早い時刻から眠くなり、翌朝早すぎる時刻に目が覚める睡眠相前進症候群、毎日寝る時間と起きる時間が少しずつ遅くなるため、昼夜逆転と、通常の睡眠を繰り返す非24時間睡眠覚醒症候群などの疾患もあります。

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図の説明:睡眠覚醒リズム障害の睡眠リズムを睡眠表に記録したもの。太い横線は睡眠を表す。

 
(続く)

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