医療法人 和楽会
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主な病気の解説−あがり症の治療法

 あがり症の治療法 あがり症の治療法

性格が前向きになる、人生が180度変わる!

緊張の縄を断ち切れば「あがり症」は必ず治る!


  こんなことならもっと早く来ればよかった!

 先に述べたように、あがり症が悪化した症状を社会不安障害といいます。これは、以前は対人恐怖症と呼ばれていたもので、日常生活に支障をきたすほど、強い不安を抱くのが特徴です。こうした強い不安を抱え続けていると、立ち直るきっかけをつかめないまま症状を悪化させてしまい、うつ病などを併発することもあります。

 こうなると「自分の力」だけで治すのはたいへん。心療内科や神経科を受診したほうがいいでしょう。

 「あがり症や社会不安障害には、SSRIをはじめ有効性の高いクスリがあり、治療によって長年悩んできた症状と決別できた人がたくさんいます“性格が前向きになった”“人生が変わった”という人もいて、みなさん異口同音に『こんなことなら、もっと早く来ればよかった』と話します。ですから、ひとりで悩みを抱え込まずに気軽に受診するようにしてください」(貝谷先生)

 いつの間にか自分をがんじがらめに縛ってしまった緊張の縄をほどくのは、あなた自身。前ぺージで紹介した方法でも解消できなければ、医師や薬の助けを借りて縄を断ち切る手段もあるのです。安心して新しい一歩を踏み出し、自分を解放してあげませんか?

 

≪ 専門的な治療の選択肢もあり! ≫

  まずは受診すること

 あがり症や社会不安障害の人には、「病院に行くと心の病気のレッテルを貼られてしまうのではないか」と案じ、受診したがらない人が多く見られます。自分の頭の中で敷居を高くしてしまっているのです。しかし、いざ受診してみれば、実にあっさりしたもの。ですから、まずはこの“敷居”を超えることが肝心。「思いきって受診してみようかな」という気持ちになったら、それだけで半分は治ったといってもいいでしょう。


  薬物療法

 薬物療法のメリットは、有効性が高く、費用が安く、時間がかからない点。処方されるクスリには、SSRI、抗うつ薬、抗不安薬、ベータ遮断薬などがあります。
「特にSSRIは、あがり症治療の基礎となるクスリです。緊張する場面に不安を生じなくする作用があり、また、消極的な気分を解消し、引っ込み思案の性格を前向きにしてくれます。副作用も少なく、数週間で効果が期待できます。」(貝谷先生)

  行動療法

 行動療法は、その人が避けていた状況にあえて立ち向かい、経験を積むことによって、恐怖感を克服する治療法です。これは水が怖くて泳げない人をプールに入れるようなもの。そして、その手段にはいきなり深いプールに投げ込んで泳ぎを覚えさせる方法と、浅いプールから徐々に慣らしていく方法とがあります。こうした経験を積めばしだいに水が怖くなくなるように、避けていた「緊張状況」を克服することができるのです。

  認知療法

 認知療法は、その人が物事に対して誤った認知の仕方をしていることに気づいてもらい、不安や緊張への対処法を学習していく治療法です。たとえば、「みんなの視線が自分に向いている」→「冷静になって見てみればほとんど誰も注目していない」といったように、過剰な心配や不安を呼び起こす物事の考え方や受け止め方を改め、習慣づけていくのです。よく薬物療法や行動療法と併用して行われます。

  森田療法ってどんな治療法なの?

 森田療法は、精神科医の森田正馬が1920年ごろに創始した日本独自の精神療法です。さまざまな神経症治療に大きな実績があり、あがり症の治療にも向いているとされています。

 その特徴は、神経症は病気なのではなく、症状に対する「心のとらわれ」だとし、行動をすることによって、その「とらわれ」を解いていこうとする点です。

 たとえば、「顔がこわばって、うまく話せなかったらどうしよう」という「心のとらわれ」があったとします。森田療法では、そこで顔がこわばってもいいから、人前に出て話すことをすすめます。顔がこわばるという症状を治そうとするのではなく、「顔がこわばる自分」を「ありのままの自分」として認めて、行動することをすすめるのです。そして、そうした行動を重ねることによって、恐怖感という「心のとらわれ」を克服することが可能になるといいます。

 自分に向くかどうか、興味のある人は、インターネットなどで調べてみるといいでしょう。