フクロウblog | 2016 | 5月

医療法人和楽会の「フクロウblog」です。治療や講演会などの様々な情報をお届けします。

第6回 鎌倉山マインドフルネスリトリート報告(2)

2016年4月10日(日)10:00~17:00

前編に続きまして、後編ではお昼から夕方までの内容をご紹介いたします。

「散策」

爽やかな天気に恵まれ、鎌倉の春を味わいつつ散策を行いました。心地よい風、鳥のさえずり、遠くに見える江の島、鎌倉の街並み、道ばたの桜や菜の花やたんぽぽ、土や花のにおい、なだらかな坂を歩く感覚…など、皆さんと楽しくおしゃべりしながら自然に味わうことができました。坐禅やヨーガの時の真剣な表情とはまた違った、柔らかく楽しそうな皆さんの笑顔を見て、とても新鮮でした。

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長谷川明日香講師  「ヨーガ」

ヨーガでは、動と静を通して自分の身体と真正面から向き合いました。息を「吸いながら・吐きながら」身体を動かしていくことの難しさを感じました。呼吸に集中しながら身体を動かしていくことで、皆さんの表情が自然とリラックスしていく様子を見ることができました。

 

貝谷久宣医師 「坐禅」

2回目の60分の座禅を行いました。朝のやや緊張した雰囲気よりも少しほぐれ、ほどよくリラックスして臨んでいる方が多くいらっしゃったように見えました。数十名といるのに物音一つしない静寂に不思議な感覚を覚えました。途中音が出るハプニングもありましたが、そのおかげで「身体が反応すると心も反応する」ということをまざまざと体験でき、朝の坐禅とはまた異なる「今、ここ」の体験をすることができたように思います。

 

「シェアリング」

最後に、自己紹介も含めてこの日体験したことや気づきを皆で分かち合いました。感覚的に捉えていた考えや気づきを言葉にすることで、それらを改めてきちんと理解できることを実感しました。また、自分の体験と他の人の体験を照らし合わせて気づきを深められるため、一人きりでマインドフルネスを行っていくよりも多くのことを学べるのだなと感じました。

リトリートでは、非日常的な環境で集中的に『マインドフル』に自分自身と向き合うことができます。この日はスタッフとしても非常に貴重で素晴らしい日を過ごすことができました。参加してくださった参加者の方々に心より感謝申し上げます。

(報告者:和楽会心理士 岸野)


第6回 鎌倉山マインドフルネスリトリート報告(1)

2016年4月10日(日) 10:00~17:00

鎌倉山マインドフルネスセンターにて、第6回マインドフルネス・リトリートを開催しました。約20名の方にご参加頂き、青空が広がる心地よい気候の中、アットホームな雰囲気でとても有意義な時間を過ごすことができました。ご参加くださった皆様に厚く御礼申し上げます。

今回のリトリートで実施したプログラムについて、以下に簡単にご紹介させて頂きます。

まずは前編として、朝からお昼までの内容をご紹介いたします。

 

●長谷川洋介講師 「指圧」

 指圧で行う「触れる・押す・離す」というプロセスは、マインドフルネスで言うところの「きづき・うけとり・かんじる」であるという説明がありました。呼吸に合わせてじっくりと体の各部を押していき、その時の感覚を味わうことができました。これまで全く意識していなかったような部分に触れることで、自分自身の体が今どのように応えているのか、今どのような感じがするのかということに気が付くことができたと思いました。と同時に、これまでどれほど自分自身の身体に無関心であったかということについても考えさせられました。

 

●貝谷久宜医師 「坐禅」

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 今回は60分間の坐禅を行いました。今回のように長時間の坐禅を行うのは初めてという方がたくさんいらっしゃいました。坐禅の終盤では、慈悲の瞑想として「自分に対して・親しい人に対して・普通(ニュートラル)の人に対して・嫌いな人に対して・自分に対して」、幸せが訪れること・苦しみが去ることを願いました。皆様なかなか60分間の坐禅は大変だったようですが、坐禅の前よりも心なしかすっきりとした顔をされている印象でした。

 

●小松智賀心理士 「喫飯」

 お昼には、それぞれが思い思いの場所に移動し、一つ一つの食べ物に感謝しながら食べるということに集中しました。この日はとても気候に恵まれていたこともあり、テラスに出て開放感のある場所で食事をされた方が多くいらっしゃいました。食後には、ウグイスの声や目の前に広がる鎌倉の大自然に癒された方も多かったのではないかと思います。過去・未来に捉われている日々からふと離れ、「今ここで」見て・聴いて・味わっていることの体験を意識しやすい時間だったのではないでしょうか。

お昼以降のプログラムは、後編にてご紹介いたします。

(報告者:和楽会心理士 松元)


病(やまい)と詩(うた)【38】 ー入院記ー (ケセラセラ vol.84 春)

東京大学 名誉教授 大井 玄

 

医師は、まるで病気をしない手合いであるような口ぶりの人に会うことがある。そういう人は中学・高校のクラス会で特に多いような印象を受けるが、社交辞令のひとつかも知れない。

 

昨年十月、高齢者健診で、前年には見られなかった陰影が胸部レントゲン撮影で見つかった。CTで精査すると大動脈弓部の5センチ余りの動脈瘤だった。加齢による大動脈硬化の副産物と言ってよい。

百年ほど前、東京大学医学部内科教授で森鴎外などをも教えたエルウィン・ベルツはこれで亡くなっている。当時、治療法はなく、動脈瘤の破裂により苦悶のうちに死ぬのが常だった。彼はもちろんモルヒネで痛みを押さえた。

時代は変わり、医療技術は進歩した。人工心肺を用い、石筍のように硬くなった大動脈弓を人工血管で置換することも可能になった。

今では、その人の死生観により対応方法さえ分かれている。

内科的に、動脈瘤が大きくならないよう血圧をコントロールし、排便時いきまないように、便通を緩下剤で調整する選択がある。わが尊敬するO先生は、自分は八十代後半だし、夫人がアルツハイマー型認知症の末期であるという理由で、ここ数年間、以上のごとく対応してこられた。「大人しく仲良くしていれば、なかなか破裂したりしません」というコメントを、今年の年賀状でもいただいた。夫人を看取るのが生きる主目的で、それが終わったらいつ死んでも良いと言われる。

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朝ドラ 「とと姉ちゃん」 (ケセラセラ vol.84 夏)

医療法人 和楽会 赤坂クリニック 院長 吉田 栄治

 

アドラー心理学について書かれた 『嫌われる勇気』 という本の紹介を、昨年のケセラセラ春号から始めて、2回ほどで終わるつもりが、1年がかりになってしまい、今回、その4ということで、ようやく最終回のはずだったのですが、少々最後がまとまりきらなかったので、その4については次回ということにしまして、今回は、ちょっと別の話題について書くことにしました。今回は2014年秋号に書きました「花子とアン」に続いて、またまたNHKの朝ドラネタです。

朝は大体、パンとコーヒーで朝食をとりながらニュース番組を見て、8時50分頃に家を出るのですが、ここ数年は気に入ったときは、朝ドラを見ています。最近は、「ゲゲゲの女房」、「花子とアン」、「あさが来た」に、はまりました。「あまちゃん」、「マッサン」、「まれ」はパスしました。

今回の「とと姉ちゃん」は初回からはまっています。物語は、戦後「暮らしの手帖」を創刊する女性編集者をモデルにした常子をヒロインに、昭和5年に始まります。常子(10歳)、鞠子(9歳)、美子(4歳)の3人姉妹がいつも元気に走っていて、とてもかわいいし、西島秀俊が演じるお父さん(竹蔵)がまたとってもいいんです。いつも穏やかで娘たちが何か悪さをしても頭ごなしに怒ったりしない。静かに「どうしてこんなことをしたんですか?」とちゃんと理由を聞く。ちゃんと聞いてくれるお父さんだから子供たちも正直に本当のことを言える。また、このお父さん(とと)とお母さん(かか)は、普段から子供にも「おはようございます」 「~です」 「~ます」 と丁寧語です。子供たちも自然と丁寧語で話しますが、全く堅苦しいところはなく、明るくとても品のいい家族でほのぼのとしてきます。

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生活習慣と「うつ」① (ケセラセラ vpl.84 春)

医療法人 和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤 尚

 

日々、多くの「うつ」の方の診療をしていると、ストレスのみならず、生活習慣の影響の大きさをしばしば実感します。そのことを客観的に裏付ける研究も数多く行われています。ここでは睡眠と飲酒を取り上げます。

1.不眠と「うつ」

ジョンズホプキンス大学の医学生を対象にした研究で、学生時代に不眠があった人はそうでない人よりも、後年(追跡期間の中央値は34年間)うつになるリスクが2倍だったという研究があります(Chang et al, 1997)。不眠はうつの危険因子なのです。

 

2.睡眠時間と「うつ」

睡眠時間が短い人は肥満、糖尿病、心血管障害、がんなどの発症リスクと共に、死亡率も上昇しているという疫学研究があります(Dolgin、2013)。

短時間睡眠と「うつ」との関連も報告されています(Kaneitaら 2006)。日本での研究では、睡眠時間が6時間未満と短い人は、6時間以上の人に比べてうつ病の発症率が約1.6倍だったそうです (Sakamotoら、2013) 。

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