フクロウblog | 2016 | 7月

医療法人和楽会の「フクロウblog」です。治療や講演会などの様々な情報をお届けします。

病(やまい)と詩(うた)【39】 ードナルド・トランプ「大統領」と気候変動ー (ケセラセラ vol.85 夏)

東京大学 名誉教授 大井 玄

 

不動産王ドナルド・トランプは、共和党の大統領候補に名乗りを上げたときから、通常人の度肝を抜くような大胆な発言を繰り返してきた。いわく1100万人の不法移民を逮捕し、強制送還する。いわく、メキシコとの境界に通り抜け不可能な壁を建造し、メキシコに費用を払わせる。いわく、イスラム教徒の入国を禁止する等々。

彼によれば、「ジャージー市(ニューヨーク市の隣にある)の何千人ものイスラム教徒が、9・11事件の際、世界貿易ビルの崩壊を喝采した」のである。しかも、「アメリカの推定300万余人のイスラム教徒を登録し、彼らが抱く信仰を記した特別の身分証明書を携行させることも辞さない」という。ナチスがドイツの政権を獲得したとき、ユダヤ人にダビデの星の印を着けさせたことを思い出させる。

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『嫌われる勇気』の紹介 その4 (ケセラセラ vol.85 夏)

医療法人和楽会 心療内科・精神科 赤坂クリニック 院長 吉田 栄治

 

ケセラセラVol82、83( -その3(1)、(2) -)で、「承認欲求の否定」と「課題の分離」ということについて紹介しました。アドラーはここを対人関係の出発点とし、そこから、非常に広い意味での「共同体感覚」を築いていくことを対人関係のゴールと提唱します。実際のアドラーの「共同体感覚」は非常に深い意味を含んでいるようですが、現実的でわかりやすい部分でいうと、「他者を仲間だとみなし、自分は仲間に囲まれて生きており、そこに“自分の居場所がある”と感じられること」と説明されます。これって、周囲の人からあなたは仲間ですよと承認されることではないかと思うのですが、どうもそれとは違うようです。アドラーにおいては承認欲求は否定されるのですから。

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生活習慣と「うつ」② (ケセラセラ vpl.85 夏)

医療法人和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤 尚

 

カフェイン摂取が寝つきの悪さの原因になることもあります。カフェインは中枢神経を興奮・覚醒させる作用があり、頭をすっきりさせて集中力を高めるので、仕事や勉強の合間のコーヒー・お茶が欠かせない方も多いでしょう。カフェインの半減期(血液中の濃度が半分に下がるまでにかかる時間)は3?5時間程度です。従って午後2時にコーヒー4杯を飲むと、夜中の12時になってもコーヒー1杯分程度のカフェインが体に残っている計算になり、カフェインに敏感な方の睡眠を妨げることがあります。カフェインは体内時計のリズムを遅らせるという研究もあります。カフェインは紅茶や緑茶、チョコレートにも含まれます。不眠に悩む人はカフェイン含有食品の影響についても一考した方がよさそうです。

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規格外な夫婦②~強迫性障害の患者さんの奥さんが四コマ漫画を出版しました (ケセラセラ vol.85 夏)

医療法人和楽会 なごやメンタルクリニック 院長 原井 宏明

 

主治医として

この本はとてもありがたいです。テレビ放送には絶対にならないような、文章でも説明困難な強迫症状が漫画の形でわかりやすく表現されています。診察室では患者さんが出すことがないために医師が直接把握することができない、一つ屋根の下で生活する人にしか分からないような症状が家族の困惑も含めて文字通り絵になって表現されています。困っていることを人にどう伝えて良いか分からず、立ち止まったままになっている患者さん、置き去りにしてしまっている家族にとっての福音になるはずです。

そして、行動療法家の目で見ると著者の“たまこさん”のすることが理に適っていることに気づかされます。ブログのページにこう書いてあります。

このブログを通じて、同じような境遇の方と交流をはかったり気持ちを共有したりすることが出来ればと考えています。

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不安のない生活(29) 呼吸について(2) (ケセラセラ vol.85 夏)

医療法人和楽会 理事長 貝谷 久宣

 

以前本誌に「香道 文学散歩」を連載執筆していただいていた香道お家流の熊坂久美子家元から前回の筆者の原稿「呼吸について」の感想を頂いた。香道では香炉を両手で持て息を短く吐いて香炉に乗っかっている香木を鼻に近づけゆっくり息を吸うのが常道である。前回の原稿の中の“吐く息が長いのは長生きの証拠である”に関して、「私、長生きできないわね」と古希を過ぎた筆者より何歳も年長の久美子女史が申された。いや、違うんです。お香を長年嗜まれている方は概して長生きで活発だと私は思っています。嗅覚のような原始感覚を研ぎ澄ますことは生物本来のエネルギーを高め保寿につながると私は思っています。アルツハイマー病の初期症状は嗅覚低下です。香道で香りを聞くとき多くの香人は片側の鼻を主に使用します。たぶんこれは注意を集中するためでしょう。しかし、NHKの人気番組「ためしてガッテン」で知ったのですが、実は私たちの呼吸は鼻腔を左右交互に使用しているらしいのです。これは疲労を避けるためであると解釈されています。そうなるとお香で片鼻を使うのは活動中で敏感な鼻を使っているとも考えられます。

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