ほんの数十年前まで、心の病は心理や環境などに主な原因があると考えられていました。
たとえば子どもに心の病が思われる症状が出ると、母親の育児態度が問題といわれることおも多かったです。
1970年代に入って、脳の神経伝達物質に作用する薬がパニック障害を緩和することがわかり、さかんに心の病気と脳の関係が研究されるようになってきました。
心の状態に作用する向精神薬(Psychoactive drags)も進化しており、より副作用の少ない抗うつ薬や抗不安薬などが次々と新しく登場しています。特に抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、抑うつ症状を改善する際の第1選択薬として広い範囲で使われています。
ただし、副作用は比較的少ないものの、吐き気、下痢などの胃腸症状がみられることもあり、ごくまれに「セロトニン症候群」(セロトニン過剰による意識障害や発熱)や、「アクティベーション症候群」(SSRI服用後1~2週間後に起こる情動不安)などが起こることもあるので容易な使用は危険です。
SSRIの後に登場したセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、セロトニンだけでなくノルアドレナリンにも作用して脳内の神経電卓機能を正常にする目的でつかわれます。
また、従来から使われている抗うつ薬(三環系抗うつ薬など)も、SSRIの効きにくい人に有効な場合があり、効果の確実な抗うつ薬として現在も治療に役立っています。
(「薬いらずのメンタルケア」貝谷久宣著、主婦の友社 より抜粋)
| お薬の名前 | 特徴/副作用 | |
|---|---|---|
| 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) | パキシル |
おだやかな抗うつ効果。 遅効性。意欲には効果薄。 副作用は少なく、長期間の服用が可能/服用開始時に吐き気や眠気が出ることあり。 断薬時の断薬症状に要注意。ときに服用できない人あり |
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デプロメール ルボックス |
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| ジェイゾロフト | ||
| セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI) | トレドミン |
おだやかな抗うつ効果。 SSRIよりも意欲に効果あり。 副作用は少なく、長期間服用しても安全/吐き気、頭痛、排尿困難、高血圧など。 |
| ノルアドレナリン・特異的セロトニン性抗うつ薬(NaSSA) |
リフレックス レメロン |
即効性の抗うつ効果、抗不安作用も併せ持つ。 鎮静作用と意欲亢進作用を持つ/眠気、食欲増加。 |
| 三環系抗うつ薬 | トフラニール |
強い抗うつ効果。 非定型うつ病の眠気や疲労にも効果あり/かすみ目、口渇、頻脈、便秘、手のふるえ、性機能障害、立ちくらみ、吐き気、頭痛。 |
| アナフラニール | ||
| その他抗うつ薬 | デジレル レスリン |
おだやかな抗うつ効果/強い眠気。 抗コリン作用はやや少ない。 |
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ドグマチール ミラドール アビリット ルジオミール |
比較的おだやかな抗うつ効果。 賦活作用、食欲亢進作用、腹部不快感の改善/女性は乳汁分泌や月経異常も |
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| ベンゾジアゼピン系抗不安薬(短期作用性) |
デパス セパゾン レキソタンなど ワイパックス コンスタン ソラナックス |
即効性あり。 不安や緊張、抑うつ気分をおだやかに鎮静。 短期作用タイプは不安時の頓服可能。 パニック発作にはよく効くが、広場恐怖やうつ病への効果は低い。 種類が多く、ほとんどの人に服用可能/眠気、ふらつき、攻撃性、だるさ、動作が鈍くなる、記憶力・注意力低下など。 |
| ベンゾジアゼピン系抗不安薬(中期作用性) |
セダプラン エリスパン リボトリール ランドセン |
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| ベンゾジアゼピン系抗不安薬(長期作用性) |
メイラックス レスタス |
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| β遮断薬 |
インデラル カルビスケン ミケラン サンノーム |
抗不安効果。 心悸亢進を緩和/気管支を収縮させるのでぜんそくの人には禁忌。 血圧低下、不眠、だるさ、吐き気。 |
| 気分安定薬 |
バレリン デパケン |
情緒安定作用があり、不安・抑うつ発作や躁状態にも効果あり/眠気、めまいなど |
| 抗精神病薬 |
ジプレキサ セロクエル エビリファイ ロナセン |
不安・抑うつ発作のような激しい不安感や焦燥感がある場合に使用。 軽い躁状態や興奮状態にも効果あり/血糖値の上昇作用があるため糖尿病には禁忌(ロナセンは除く) |
| 精神刺激薬(覚せい剤) |
リタリンなど ベタナミン |
眠気や疲労の改善(抗うつ薬のイミプラミンがあまり効かないときに使用)。 日常生活を取り戻す呼び水として1ヶ月程度使用。 体制・習慣性に厳重注意が必要/肝機能障害、血圧上昇、口渇、めまいなど |
| モディオダール | ナルコレプシーや過眠症に効果がある/頭痛、口渇、不眠、動悸、食欲不振 |
*この表には、すべての薬が含まれているわけではありません。
また、同じ病名でも、医師により用いる薬が異なる場合があります。
疑問があるときは、担当の医師、薬剤師などに聞くようにしてください。
(「薬いらずのメンタルケア」貝谷久宣著、主婦の友社 より抜粋)