パニック症(パニック障害)とは?

パニック症(パニック障害)は、急に胸がドキドキし、息が苦しくなり、めまいや吐き気などの発作のような身体症状があらわれる  パニック症は、何のきっかけもなく急に胸がドキドキし、息が苦しくなり、めまいや吐き気などの発作のような身体症状があらわれ、「このまま死んでしまうのではないか」「発狂してしまうかも」などと強く不安を感じる病気です。

患者さんは、なぜこんな状態になるか訳が分からず、困惑してしまいます。
そして、病気の根底にある不安感や恐怖感が強まると、発作がおさまってもさまざまな症状があらわれ、きちんと治療をしないと、慢性化していきます。

パニック症(パニック障害)の主な症状は?

 パニック症は、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖症」「非発作性不定愁訴」という4つの症状があります。

◆パニック発作

パニック発作とは、パニック症の中心となる症状で、不意に理由なく激しい恐怖感または不快感とともに下記の13の症状のうち4つ以上、突然あらわれる状態です(米国精神医学会発行DSM-5TM, 2013)。
多くの場合、数分でピークに達し、30分前後でおさまっていきます。
パニック発作は、心電図や血圧、採血などの検査をしても、身体的な異常がみつからないのが大きな特徴です。

  • 心悸亢進、心臓がどきどきする、または心拍数が増加する
  • 発汗
  • 身震い、手足の震え
  • 呼吸が早くなる、息苦しい
  • 息が詰まる
  • 胸の痛みまたは不快感
  • 吐き気、腹部の不快感
  • めまい、不安定感、頭が軽くなる、頭から血の気が失せる感じ
  • 寒気または熱感(ほてり)
  • 知覚異常(しびれ感、うずき感)
  • 現実感喪失(非現実感)、自分が自分でない(自己分離感)
  • 常軌を逸してしまう、狂ってしまうという恐怖
  • 死の恐怖

※1~10:身体症状、11~13:精神症状

◆予期不安

 予期不安とは、パニック発作を繰り返すうち、発作の経験が頭から離れなくなり、発作がないときでも「また発作が起きたらどうしよう」と不安になることです。
不安の対象も「発作そのもの」から「発作を起こしたことがある場所や状況」へと広がっていきます。

◆広場恐怖症

広場恐怖症とは、予期不安が強いために、以前発作を起こした場所や逃げられない場所、すぐに助けが求められない状況をひどく恐れて、その場面や状況を避けてしまうことです。
アメリカ精神医学では、『広場恐怖症はパニック症の結果生じる状態である』と長らく考えられていましたが、実はパニック症になる人はすでに広場恐怖症がある人が多いことが最近明らかにされました。
広場恐怖症は17歳前後の発症が多く、家族のなかに広場恐怖症で困っている人がいる場合に発症しやすいと言われています。

■広場恐怖症によって避ける場所や状況の例
  • 公共で交通機関を使う(例、自家用車、バス、電車、船、飛行機)
  • 解放空間にいる(例、大駐車場、市場、橋)
  • 閉鎖空間にいる(例、劇場、映画館、エレベーター、トンネル)
  • 行列に並ぶ、人混みの中にいる
  • 1人で外出する、1人で留守番をする

◆非発作性不定愁訴

 慢性期になると、パニック発作症状が穏やかにそして持続的に出現するようになります。
理由のない軽い不安感(浮動性不安)、波状に出現する軽い離人症状(現実感が薄れたり、自分をもう一人の自分が見ている感じ)、そして種々な自律神経症状があります。

  • 体がゾクゾクして鳥肌が立つ
  • 喉元がピクピクする
  • 頭痛
  • 手が冷たい
  • 動悸がする
  • 汗がひかない
  • 視界がチカチカする
  • いつも雲の上を歩いているような感じ
  • 息苦しくなる
  • 肩こり
  • 首の痛み
  • 背中がピクンピクンする
  • じっとり汗をかく
  • 胸が痛くなる
  • 頭に何か乗っている

パニック症(パニック障害)の症状があてはまると思ったら・・・
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最新版「パニック症(パニック障害)解説」前編(フクロウblog『貝谷久宣医師の不安のない生活』より)

どのような治療が必要でしょうか?

パニック症(パニック障害)は、まずは発作を抑えるために薬物療法を開始するのが一般的  パニック症の治療法には、“薬物療法”と“心理療法”があり、両方とも取り入れるとより有効性が高いと言われています。
下図にパニック症の治療経過を示します。

 パニック症は発作を繰り返すたびに不安感が強まるため、まずは発作を抑えるために薬物療法を開始するのが一般的です。


“薬物療法”と“心理療法”両方取り入れるとより有効性が高い また、ご自身の病気や症状を理解し、対処法を身につけていくために、心理教育や心理療法が重要な回復のカギとなります。
心理療法の中で、最も有効性が示されているのが認知行動療法です。
医療法人和楽会では、心理士による認知行動療法も常時行っております。

パニック障害-[図5]パニック障害の治療経過

図注)治療開始3ヶ月でパニック発作をはじめとする病的な症状が大幅に消失し、日常生活で大きな不安を感じなくなります。
1年目には、広場恐怖症もほとんど消失し、病的状態はなく、寛解状態に達します。
その後、徐々に減薬をしながら、通常の状態に戻っていきます。


最新版「パニック症(パニック障害)解説」後編(フクロウblog『貝谷久宣医師の不安のない生活』より)

パニック症(パニック障害)のカウンセリング種類

家族や周囲はどう対応したらよいですか?

◆病気を理解する

パニック症は、性格などによって起こるものでも都合の悪いことから逃げ出すために起こしているわけでもないことを認識し、不安や恐怖に関係する脳の機能障害によって起こる「病気」だということを理解してあげることが必要です。

◆発作が起きても冷静に対応する

周囲にいる方があわてたり大騒ぎしたりすると、ご本人の不安が増し、症状はいっそうに激しくなります。
発作が起きたら、まずは楽な体勢にさせて、やさしく声をかけたり身体をさすったりしながら落ち着くまで傍にいることが大切です。

◆外出や通院に付き添う

ひとりでの外出が困難な場合には、付き添ってあげてください。
家で引きこもっているより、少しずつでも外出をすることで、恐怖を克服し自信を取り戻せるようになります。