はじめに

 ここで与えられたテーマはパニック障害(panic disorder)がセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin noradrenaline reuptake inhibitor : SNRI)の適応疾患となりうるかという問題である。筆者はまず、現在までにわかっているパニック障害の精神薬理学的所見を明らかにし、それに対してミルナシプランがどのように作用するかを文献的に考察する。つぎに、パニック障害に対する各種のモノアミン再取り込み阻害薬の現在までの治療効果を展望する。最後にミルナシプランが効果を発揮した代表的な症例を示し、パニック障害のどのような状態がミルナシプランの適応となるかに言及したい。

1.パニック障害におけるノルアドレナリン系の機能障害とミルナシプランの作用(図1,貝谷,1996)
図1 NAシナプスとパニック障害(貝谷久宣, 1996 6)より改変引用)
節前性のα2受容体はNA産生の律速酵素であるチロシン水酸化酵素活性に負のフィードバックを掛ける自己受容体である.この受容体のアンタゴニストであるyohimbine,およびアゴニストであるクロニジンはNA活性を高めたり,抑制したりする.NAの代謝産物であるMHPGの血漿中の濃度がNAニューロン活性の指標となる.Yohimbineはパニック障害患者にパニック発作を高率に起こし,逆にクロニジンは治療的作用をもつ.
 ノルアドレナリン(NA)性ニューロン内にあるいわゆる、節前性のα2受容体はNA機能を自己調節するための自己受容体である。この受容体のアンタゴニストであるyohimbineをパニック障害患者に投与するとパニック発作を生じる。逆に、α2受容体アゴニストであるクロニジンはパニック発作を抑制する作用がある。これらyohimbineやクロニジンをヒトに投与するとNA活性が高まったり抑制されたりする。この状態はNAの代謝産物である 3-メトキシ-4-水酸化フェニールグリコール(3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol:MHPG)の血漿中の濃度を測定することにより知ることができる。パニック障害患者にNA関係物質を投与すると正常対照者とくらべて明らかな差異がみられる1) 2)。すなわち、yohimbineでα2自己受容体を遮断するとMHPGの増加が亢進しているし、クロニジンでα2自己受容体を刺激するとMHPGの減少の亢進がみられる。すなわち、節前性のα2受容体はアンタゴニストにもアゴニストにも過剰な反応を示す。この所見から、パニック障害におけるNA性ニューロン機能はアップダウンが激しいと考えられる。このようなパニック障害において異常が示されているα2受容体に対してミルナシプランはどのように作用するかを以下に検討する。

 Mongeauら3)によれば、ミルナシプランの急性投与(2日)および慢性投与(7,14日)は、青斑核NAニューロンの発火頻度を低下させる。また、自己受容体アゴニスト(クロニジン)は当然NAニューロンの発火頻度を低下させるが、ミルナシプランはこのクロニジンの作用を減ずる効果がある。すなわち、ミルナシプランはα2自己受容体のパーシャルアゴニスト作用があると考えられる。一方、セロトニン(5-HT)ニューロンに対してはこのような作用は認められない。MoretとBriley5)によれば、ミルナシプラン慢性投与はラット視床下部スライスにおいて電気刺激による放射性NAの放出や放射性NAの取り込みに影響することはなく、α2受容体アゴニストによるNAの放出と取り込みの抑制効果には影響しなかった。すなわち、ミルナシプランの慢性投与はα2受容体の変化を起こすことはなかった。これら2つのミルナシプランに関する動物実験研究のうち前者のin vivo研究の結果を取り上げれば、ミルナシプランはパニック障害のα2受容体の過敏性に対して是正的な作用をもつと考えられる。

表1にパニック障害におけるNA機能の所見を示した。これらの機能障害をまとめると、パニック障害における節前性NA性ニューロンは機能が亢進し、節後性NAニューロンは機能低下するといってよいであろう。この節後性の所見は一言でいえば、節前のNA活性上昇に対するダウンレギュレーションが生じていると考えることができよう。ミルナシプランは細胞外のNA濃度を高めることにより7)節後性のNAニューロンの機能低下に対抗する可能性が考えられる。ただし、ミルナシプランはNA受容体に対しても5-HT受容体に対してもダウンレギュレーションを起こすことはないと報告されている8)
2.パニック障害における5-HT系の機能障害とミルナシプランの作用(図2,貝谷,1996)
図2 5-HTシナプスとパニック障害(貝谷久宣,1996 6)より改変引用)
神経終末から5-HTを遊離させる作用のあるフェンフルラミンや,5-HT受容体5-HT1および5-HT2のアゴニストであるメトクロロフェニルピペラジンをパニック障害患者に投与すると高率にパニック発作が起きる.5-HTの再吸収阻害薬であるクロミプラミンをパニック障害患者に投与すると初期に一過性にパニック発作が増悪するが,投与をつづけると治療効果が出現する.これは当初5-HT機能が亢進し一過性に悪化し,その後5-HT受容体のダウンレギュレーションが生じてきて,治療効果が出現するものと考えられている.これらのことから,パニック障害患者では脳内5-HT神経伝達機能が亢進してくるとパニック発作が生じると考えられる.
 5-HTの遊離を促進させる薬物(フェンフルラミン)や5-HT受容体アゴニスト(メトクロロフェニルピペラジン:M-CPP)の急性投与でパニック障害が誘発され、5-HTの再吸収阻害薬(クロミプラミン、フルボキサミン)が治療的に作用する。このようなことから、5-HT受容体の感受性亢進がパニック障害の病態生理として存在し、そのダウンレギュレーションを起こす薬物が治療効果をもつと推定される。

 パニック障害患者の5-HT機能として、血小板のイミプラミンの結合能や取り込み率および脳脊髄液中の5-HT代謝産物5-水酸化インドール酢酸が検討されたが、明らかな異常は認められていない。ただ、M-CPPやフェンフルラミン投与による血中プロラクチンやコルチゾール増加が亢進していることが、パニック障害患者における節後性5-HT機能亢進を示す唯一の所見である。その後のさらに詳しい研究によれば、5-HT1A受容体のパーシャルアゴニストであるイプサピロンのチャレンジテストで低体温、コルチゾール・ACTH(adrenocorticotropic hormone)分泌反応がパニック障害患者で不全であった。これは、パニック障害では5-HT1A受容体の感受性が低下していることを意味している。

 ミルナシプランは縫線核の発火を急性期では抑制し、7日投与では部分的抑制にとどまり、14日投与では完全に抑制しなくなる3)。ミルナシプラン慢性投与(14日間)はラットの5-HTによる縫線核発火の抑制を阻止すると報告されている4)。すなわち、ミルナシプランは2週間以内に5-HT1A受容体を脱感作(desensitization)すると考えられている。そうであれば、前述したパニック障害における5-HT1A受容体の低感受性をさらに促進することになり、ミルナシプランはこの仮説においてはパニック障害に効果がない。しかし、海外の研究では5-HTや5-HT1Aアゴニストによる縫線核発火の抑制はミルナシプランの投与で変化しない3)。また、ミルナシプランは急性投与では細胞外5-HTを高めるが2週間の慢性投与ではそのような作用はないし、5-HT1A拮抗薬(WAYl00635)は影響がないのでミルナシプランの作用は5-HT1A受容体を通しての作用はなさそうである9)。また、ミルナシプランは5-HT受容体のダウンレギュレーションはしないので8)、パニック障害の5-HT受容体過感受性仮説に対応した効果はない。以上のように、ミルナシプランの動物実験における結果とパニック障害の精神薬理学的仮説と適合する事実はみつからなかった。

3.モノアミン再取り込み阻害薬のパニック障害に対する効果

 ここで、5-HTとNAの両者の再取り込み阻害をするミルナシプランのパニック障害に対する臨床効果を検討する前に、各アミンに作用する抗うつ薬の抗パニック効果を検討する。

1) 5-HTおよびNA再取り込み阻害薬イミプラミン
 ヒルサイド病院での研究でKleinとFink10)はパニック発作を主症状とする当時、phobicanxiety reactionと診断していた一群の患者にイミプラミンが効果をもつことをはじめて知った。その後、クロルプロマジンとの比較試験でイミプラミンがパニック発作の特異的な阻止効果をもつことをみつけた。すなわち、現在のパニック障害に相当すると考えられる病態を呈する10例中全例でイミプラミンは突発的パニック発作を消失させたが、クロルプロマジンでパニック発作が消失したのは10例中の1例だけであった11)。その後もイミプラミンがパニック障害に効果があることが報告された12)。イミプラミンと薬理学的プロフィールの類似しているミルナシプランは、このような点からいえばパニック障害に効果をもつことが十分考えられる。

2) NA再取り込み阻害薬
 Kalusら13)はもっぱらNAの再取り込みを阻害するdesipramineのパニック障害に対するオープン試験をおこなった。15人のパニック障害患者に6週間投与し、80%の患者に全般的な改善を観察した。この改善は不安や恐怖症といったパニック発作以外の症状に著明であった。Lydiardら14)はプラセボ対照研究をおこなった。その結果、ハミルトン不安評価尺度(Hamilton Anxiety Scale:HAM-A)と恐怖症全般評価尺度(global phobia ratings)においてはdesipramineは有意に効果があったが、全般性改善尺度とパニック発作頻度では統計学的有意差は出なかった。Sassonら15)は、クロミプラミンとdesipramineのパニック障害に対する二重盲検試験をおこなった。その結果、両薬物ともパニック発作に対しても不安や恐怖に対しては有効であったが、それは前者がまさっていた。Versianiら16)は75人のDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)-III-R診断基準を満たすパニック障害患者を対象として、選択的NA再取り込み阻害薬(selective noradrenaline reuptake inhibitor:NARI)reboxetineのプラセボ対照治験をおこなった。実薬によるパニック発作の減少は2週目からみられ、治験終了時のパニック発作回数はreboxetineで1.2/週、プラセボで5.8/週で統計学的有意にreboxetineはパニック発作回数を減少させた。また、reboxetineはGlobal Phobia Scaleでも有意に得点を下げた。Den Boerら17)は、44人のパニック障害患者に対してフルボキサミンかマプロチリンをそれぞれ1日量150mgを6週間投与し盲験比較した。フルボキサミンはパニック発作の減少に対しても、不安症状の緩和に対しても有意に効果があったが、マプロチリンはこれらには効果がなく、抑うつ症状を多少改善しただけであった。NARIのパニック障害に対する効果を展望すると、desipramineでは臨床効果を否定する研究はないが、パニック発作に対するよりはどちらかといえばそのほかの不安症状に対する効果のほうが明白であるようである。マプロチリンはパニック発作にはまったく効果が示されていない。

 このマプロチリンの抗パニック発作作用の欠如から、パニック障害のNA仮説に疑問が投げ掛けられるようになった。当初、イミプラミンのパニック発作抑制効果はNA性ニューロンの発火頻度を低下させる作用18)によるものであると考えられていた。ところが、yohimbineはNA合成を促進しパニック発作を誘発するが、イミプラミンはこのyohimbine誘発パニック発作には効果がないことがわかった19)。また、yohimbineにより不安は高まるがパニック発作を起こさないパニック障害患者もいることがわかった20)。このような事実から、大多数のパニック障害患者におけるパニック発作の発症機構にはNA系が直接的に関与しているのではなく、別の機構が関係していることが推定された。このようなことから、イミプラミンのパニック発作を阻止する臨床的効果は5-HT系に関与した機構である可能性が強く考えられるようになった。そして、5-HT選択的再取り込み阻害薬であるクロミプラミンやパロキセチン21)は、5-HTとNAの再取り込み阻害をするイミプラミンより効果が強い22)ことが明らかにされた。

3) 選択的5-HT再取り込み阻害薬
 現在わが国で上市されているフルボキサミンやパロキセチンをはじめとしてcitalopram、sertraline、nuoxetineとすべての選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)は長期に及ぶ副作用が少なく、有効率が高い。現在、欧米諸国ではSSRIはパニック障害治療の第一選択薬とされている23)

4) 5-HT・NA再取り込み阻害薬
 現在、臨床的に使用できるSNRIはvenlafaxineとミルナシプランである。ここではvenlafaxineについての報告を概観する。Venlafaxineがパニック障害に対して効果をもつ可能性については2、3の学者が提唱している24) 25)。しかし、実際の治験はそれほど多くはない。Geracioti26)は4人のパニック障害患者に対してvenlafaxineの治験結果をはじめて報告した。治療用量は1日量50〜75mgであったが、初期にはさらに低用量が投与された。4人とも全員でパニック発作が早期に消失したと報告されている。さらにその後、Pappら27)はDSM-IV診断基準を満たすパニック障害13人にオープン試験をおこなった。1日量平均47mgの低用量のvenlafaxineを投与して、10週間後には全例でパニック発作は完全に消失した。また、数種類の不安評価尺度の得点も有意に減少した。

 低用量のvenlafaxineはもっぱら5-HTのみを再取り込み阻害し、高用量になるとNA再取り込み作用が加わるといわれている。これら2つのオープン試験では低用量のvenlafaxineで治験されているので、おもにveniafaxineの5-HT再取り込み阻害作用がパニック障害に効果を発揮したと考えられる。そして、それが不安症状の軽減だけではなくパニック発作の消失につながったものと考えられる。

 パニック障害に対するvenlafaxineの二重盲検試験はいまのところ1研究しか報告されていない。Pollackら28)は13人のパニック障害患者にvenlafaxineを、12人にはプラセボを8週間投与した。脱落者は実薬よりプラセボ投与患者に多かった(2/13:8/12)。全般性改善度においてのみvenlafaxineのほうがプラセボより有意に高かった。HAM-Aによる不安と抑うつの改善度はvenlafaxineで高い傾向にあった。

 パニック障害においてvenlafaxineに効果があることはどの研究も認めている。ただ、パニック璋害に対するvenlafaxineの治験がさほど多くないことは、venlafaxineが全般性不安障害(generalized anxiety disorder:GAD)に対して第一選択薬になるほどパニック障害における効果は著明ではないことを暗示している。

4.ミルナシプランはパニック障害に対して効果があるか?

 ミルナシプランのパニック障害に対する治験報告は1パイロット研究のみである29)。それによると、抗うつ薬の治療歴のない10例のパニック障害が対象となり、漸増法で6日目にはl日量100mgのミルナシプランが8週間投与された。2週間後に改善が不十分な症例にはミルナシプランは150mgまで増量された。8週後には、HAM-Aの平均ポイントは25.0からl1.4に、パニック発作平均回数は6.6/週から2.8/週に減少し、これらの変化は統計学的有意であった。パニック障害はプラセボ効果の高い障害であるのでこの結果は対照試験により確認される必要がある。

 ミルナシプランは、2つの不安の動物モデル〔four-plate test30)、Conditioned fear stress(CFS) -induced freezing behavior31)〕において抗不安作用があることが確認されているので、臨床においてもパニック障害の不安症状に効果があることが予想される。

 これまでに展望してきたように、パニック障害の病態生理においてはNA性機構も5-HT性機構も重要な役割を演じていることは明らかである。それに関係してパニック障害患者は少なくとも2群に分類されることが考えられる。すなわち、パニック発作の発症機構にNA性機構が直接関与するものと5-HT系の脆弱性が基底にあって、NA機構を十分にコントロールできなくてパニック発作を生じるものがあると推定される32)。前者はyohimbine誘発のパニック発作でありイミプラミンの効果がない19)。また、desipramineによりパニック発作が消失するパニック障害患者もこの1群に人る15)。一方、大部分のパニック障害は、5-HT機構に何らかの問題があり、5-HT系に影響を与えることにより臨床効果が得られる。すなわち、欧米ではSSRIがパニック障害の第一選択薬となっていることがこれを物語っている。乳酸誘発パニック発作ではMHPGの増加がみられず33)、NA系ではなくおもに5-HT系に問題がある1群であると考えられる。この後者のパニック障害にはマプロチリンによりパニック発作が抑制できなかった患者群が対応するのであろう17)。大部分のパニック障害はこれら5-HT系に問題があるタイプであると考えられる。このようなことから、5-HT系にもNA系にも作用するミルナシプランは、パニック障害に対して幅広く効果をもつものと考えられる。

5.パニック障害におけるミルナシプランの自験例

1) 潜在性の抑うつと軽度の広場恐怖に奏効した症例
症例(N2904):36歳、女性。
 平成X年の1月8日 (32歳時)、電車に乗っているとき、呼吸困難、めまい、乎足の震え、しびれ感、頭の熱感からなるパニック発作を発症した。発作は非常に激しく、つぎの駅で途中下車し救急車が呼ばれた。その後、発作の頻度が増し、1日1回以上襲った。発作発来後、まもなく広場恐怖(agoraphobia)がみられた。発症2週間後の初診時、パニック発作は依然消失しておらず、外出はかなり制約されていた。とりわけ電車に乗ることには強い恐怖を訴えていた。また肩こり、眼瞼の不快感などの、非発作性不定愁訴が認められた。抑うつ気分は中等度で、早朝覚醒、易疲労性、不安・焦燥、集中力減退、抑うつ気分、興味・関心の低下が認められた。ロフラゼプ酸エチル2mg、スルピリドl00mgが投与された。その後、順調に各症状は回復し、維持療法がつづけられていた。平成X+1年12月(34歳時)の状態は、電車に乗り、パートに通勤していた。発作の予感はあるが起きない、別居中の夫のことでクヨクヨ悩むことが多いと訴えられていた。その当時の処方は、ロフラゼプ酸エチル2mg、イミプラミン20mgであった。

 平成X+2年10月、抑うつ気分が出現、失職中であり、ほとんど一日中、誰とも話さずクヨクヨ考える日がつづいた。当日よりイミプラミン20mgをミルナシプラン25mgに変更。2週後、不安・焦燥感は消失し、気分は前向きになった。服薬1週間後には部屋の模様替えをし、気分が明るくなったと述べた。それまで躊躇気味であった車の運転が楽になった。また、イミプラミン服用中にみられた眠気は完全に消失した。その後、スポーツジムに通うようになり、数年来行ったことがなかった映画も見に行くようになった。以後、半年間病的症状のない状態がつづいている。

 この症例は32歳で発症し、中程度の広場恐怖、抑うつ気分を伴うパニック障害である。維持療法中、潜在性の抑うつと軽い広場恐怖が再燃した。このような状態にミルナシプランは奏効した。

2) 不安発作が早期に消失した症例
症例(A4310):KU 中学2年生、男児。
 地元の有名私立中学に人学した年の11月にパニック発作が初発した。このパニック発作は学校から帰宅し、家でくつろいでいるときに突然激しい恐怖感ではじまった。心悸亢進、呼吸困難。窒息感、腹部不快感、全身のしびれ、発汗とともに、死の恐怖、発狂恐怖、離人症状が出現した。この発作に先立つ約1ヵ月間、軽い抑うつ気分、自発性減退、易刺激性、不機嫌が認められた。パニック発作の初発後、ほとんど連日、身体症状よりも精神症状が前景に立つ不安発作が生じた。トイレや浴室で自分のペニスを見ると理由もなく激しい恐怖感に襲われ、睾丸がつり上がってしまうとしばしば訴えた。そのため、人浴することができなくなった。パニック発作の初発以来、登校できる日が徐々に少なくなり、初診前半年間はまったく登校できず、週に1回教師の家庭訪問を受けていた。当時、母親が記した看護記録から抜き書きするとつぎのような状況であった。

(X 日)人浴時に"頭が飛んで行く"と助けを求める。
(X+3日)夕食前、自分はどうしてここにいるかと両親に尋ねる。
(X+4日)睡眠前に頭の感じがおかしいと訴える。
(X+5日)夜になって、37.1℃の発熱、自分は死なないかと真剣に母親に尋ねる。
(X+6日)ぼく、大丈夫かと何度も母に訊く。
(X+9日)白分がどうしてここにいて、言葉をしゃべっているのか不思議で、考えると怖くなると述べる。

 発病してからは、惰緒不安定で、易刺激性、不機嫌に傾くことが多く、両親への依存度が激しくなった。両親との同衾の強要、欲しくなると居ても立ってもおられなくなりゲームやカードを乱買、我慢することが困難、母親への暴言・暴力がしばしばみられた。
治療経過
第一病週から2週間
処方:(1) スルピリド50mg
ロフラゼプ酸エチル2mg 1×朝
(2) フルボキサミン50mg
ロフラゼプ酸エチル2mg 1×夕
 服薬開始6日後、吐き気のためにフルボキサミン中止。不安・恐怖症状は減少してきている。顔のしびれ、頭の不快感、わがまま、暴言はときどき出現。第十二病日より、ミルナシプラン15mgを追加。その3日目より、"病気になってからこれほど調子が良いことはない"と母の看護日誌に記載される。患児は睾丸が上がらなくなったと感謝する。しかし、なお入眠時に"死にたくない、お迎えが来る"と怖がることはあったが、以前のように大騒ぎにはならなかった。
第三病週から2週間
処方:(1) スルピリド150mg
ロフラゼプ酸エチル3mg
ミルナシプラン45mg
バルプロ酸ナトリウム300mg 分3
(2) 塩酸チオリダジン1Omg 1×夕
 1日中平穏な日が散見されるようになった。頭の不快感の訴えや、感情の高ぶりや暴言・暴力は時に出現するも激しい不安・恐怖発作は1回だけ。漫画の本を読んだり落ち着いて訪問教師と話せる時間がみられるようになった。母親に自分はどれだけ愛されているかを問う。自転車で近くの公園に行き、少年サッカーを見て急に腹立たしくなり帰宅。
第五病週から
処方:(1) ロフラゼプ酸エチル3mg
ミルナシプラン75mg
バルプロ酸ナトリウム300mg
塩酸チオリダジン30mg 分3
(2) Vegetamin A 1錠 1x就寝前
 自分の状態が良くなっていることがわかる、親子三人で温泉へ行きたい気分だと患児自身が陳述。予期不安、浮動性不安は残るが、不安発作は完全に消失。代わって睡眠覚醒リズムの乱れが出現。まったく眠れないつぎの日は1日中眠りこける。食欲が異常に亢進した。1週聞で3kg体重増加。覚醒時、機嫌の良いときはビデオを見るが、幼児番組を好んだ。外出の誘いに応じるようになった。

 同時に投与されていた抗不安薬の作用ももちろんあったと考えられるが、この症例ではミルナシプランが激しい不安発作に明らかに効果を示したと考えられる。患児自身が、"この薬を飲んだら玉が上に上がらなくなった"とその効果を自覚し、喜び、主治医への信頼を確固たるものにした。また、効果発現は早く3日目には不安が急速に減退していった。


 現在、この事例は治療開始後10ヵ月目を迎えている。不安・恐怖症状は影を潜めているが、激しい不安発作により形成されてきた、依存性、自己愛性、自己中心性、欲望抑制困難、直情性、短絡性、感情統制困難、行動化などのために通常の日常生活や通学が可能になっておらず、なお多大な療育を必要とする状態である。本例は典型的な若年発症のパニック障害であり、治療的介入は比較的早期になされたが、その社会的障害度は大きい。今後、若年者のパニック障害については、早期発見・早期診断、薬物治療、精神療法、患者療育および家族の教育とケアといった面の十分な対処方法の研究とその成果の普及が望まれる。

6.パニック性不安うつ病に対するミルナシプランの効果

 パニック性不安うつ病はパニック発作と交替性に出現する非定型うつ病像を主兆とする治療抵抗性で社会的障害度の高い病態である(表2)。ここでは治療中にミルナシプランを追加投与して抑うつ症状の軽快をみた事例を紹介する。
症例(N4408):36歳、主婦。
35歳時、テーマパークのトンネル内でパニック発作(死の恐怖と10の身体症状)を初発。以後、ほとんど連日パニック発作が出現し、中等度の広場恐怖(付き添いなしで外出が不安、長時間の乗り物は回避)が発展。近医でアルプラゾラムを処方され、パニック発作は軽減したが、まもなく不意に涙が出る、孤独感、集中力・興味・関心の低下がみられるようになった。

 発症半年後の初診所見:DSM-IV診断基準の大うつ病(major depression)、GAD、非定型うつ病(気分反応性、鉛様麻痺、拒絶に対する過敏性)を満たし、さらにFavaのアンガーアタックの診断基準をも満たした。うつ病評価尺度62点、東大式エゴグラムW型。初診前3ヵ月間はパニック発作を認めないが、非発作性不定愁訴(胸部圧迫感、めまい、頭部不快感)および予期不安は著明。

治療経過

第一病週から
処方: ロフラゼプ酸エチル6mg
フルボキサミン75mg 分3
で治療を開始し、第十四病週には
(1) ロフラゼプ酸エチル3mg
フルボキサミン150mg
カルバマゼピン300mg
塩酸チオリダジン30mg 分3
(2) フルニトラゼパム1mg
塩酸チオリダジン25mg 就寝前
が投与されていた。

 この頃、抑うつ気分や非発作性不定愁訴は一進一退、時に突発的にパニック発作が出現していた。また、アンガーアタックがしばしばみられ、家庭内のトラブルが頻発した。母親の陳述によれば、発病前の患者は優しく、よく気がつき、おとなしい性格であったという。患者本人はこれに対して、いままで長いこと我慢のしどおしであったのでこうなったと述べている。睡眠覚醒リズムの乱れは激しく、家事はまったく手につかなかった。

 第二十九病週から上記の処方にミルナシプラン75mgを追加した。その2週間後、それまでときどきあった気分の落ち込み、孤独感、焦燥感、反芻思考がほぼ消失した。ミルナシプランをさらに追加してl日量100〜150mgで経過を観察していると、無気力感や全身倦怠感(鉛様麻痺)が減退した。しかし、家事には相変わらず手がつかず、外出し友人との交際が増加した。この症例は現在初診後1年5ヵ月になるが、パニック発作、非発作性不定愁訴、抑うつ気分はほとんど認めないが、軽い広場恐怖と性格の変化(自己中心性、感情統制困難、忍耐力減弱など)が残りまだ家事に従事することができず、重症のパニック性不安うつ病の経過をたどっている。

 ここに示した事例において、ミルナシプランがパニック性不安うつ病における抑うつ気分、自発性減退、および鉛様麻痺に効果があったことがうかがえる。パニック性不安うつ病に対するミルナシプランの作用は、コロンビア大学学派が報告した非定型うつ病におけるモノアミン酸化酵素阻害薬(monoamine oxidase inhibitor:MAOI)や三環系抗うつ薬(tricyclic antidepressant:TCA)の効果と比較することができる36)。彼らは60人の非定型うつ病(そのうち22人はパニック発作があった)をphenelzine、イミプラミンまたはプラセボで6週間治療し、その有効度はそれぞれ67%、43%、29%であることを示した。パニック発作のある非定型うつ病群でのみphenelzineの効果はイミプラミンの効果にまさった。コロンビア学派が「パニック発作を伴う非定型うつ病」と言っている病態にほぼ対応するパニック性不安うつ病に対して、ミルナシプランはMAOIに代わる第一選択薬となる可能性が考えられる。

7.パニック障害に対するミルナシプランの印象

 文献的考察からうかがい知ることができるように、もっぱらNA性神経系を賦活する薬物はパニック発作に対してはそれほど効果があるとは思えない。そのような偏見があるせいか筆者はミルナシプランをパニック障害の初期治療、とりわけパニック発作をターゲットにした薬物療法には使用しない。それどころか、初期のパニック障害に投与するとパニック発作を誘発することさえある(219例中2例、図3参照)。しかし、これはSSRIにもあてはまることではある。それゆえ、筆者のパニック障害に対するミルナシプランの使用は、パニック障害にみられる抑うつである。パニック発作は消失し、治療がうまくいっているようであっても、患者にも治療者にも気づかれないほど軽微な抑うつ状態が忍び寄ってきていることがある。この状態では抑うつ気分は強くないので患者自身がそれを苦痛に感じて悩むことはほとんどない。"何となくときめかない"といった患者の言葉で形容されるのが最も適切な状態である。患者自身にも治療者にもとりわけ注意を払わなければ気づかれることなく、無関心と自発性減退の状態が持続する。Quality of Life(QOL)が低下した、いわゆる無味乾燥な人生を送っている患者である。臨床観察をこのようなことを留意しておこなうと、この種のパニック障害患者はかなりの頻度にのぼる。このような状況にミルナシプランは最も適した薬物であると考えられる。ミルナシプランでこのような軽い無為・無関心の状態が改善されるとそれに伴って存在していた広場恐怖も急激に軽快していく。
図3 ミルナシプランの副作用
図3 は自験例 (大部分がパニック障害でその半数はうつを伴う) におけるミルナシプランの投与初期にみられた副作用の頻度である.パニック障害における副作用の頻度はうつ病より多い.筆者らの対象とした患者における副作用の頻度は全般的にはSSRIと大きく変わらない.SSRIと比較してSNRIミルナシプランに比較的多いものとして頭痛が目立つ.これら副作用の多くは投与初期にかぎられるので,低用量から徐々に増量すれば克服できることが多い.また,叶ぃ匹には5-HT3拮抗薬の併用を試みる価値がある.
n=218 (なごやメンタルクリニック),頻度=59/218 (27.1%) 複数回答
 ミルナシプランがつぎに効果を発揮するのはパニック性不安うつ病である。これは治療抵抗性のうつ病であるが、このパニック性不安うつ病の眠気、過食、全身倦怠にミルナシプランは使用する価値のある薬である。SSRIと同じようにSNRIでも投与初期にはかなりの頻度で副作用がみられる。パニック障害患者で副作用が出やすく、この頻度はさらに高い。筆者のクリニックでのパニック障害患者に投与されたミルナシプランの副作用の頻度を図3に示す。

 パニック障害の治療において、ミルナシプランだけでは5-HT賦活作用が弱いので、筆者はしばしばSSRIとの併用療法で著明な効果を得ることがある。
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貝谷 久宣
山中 学
土田 英人
安田 新
上島 国利,小山 司,樋口 輝彦 編 P120-134,先端医学社,東京.2002