フクロウblog

医療法人和楽会の「フクロウblog」です。治療や講演会などの様々な情報をお届けします。

病(やまい)と詩(うた)【43】 ー墓穴を掘るのか?ドナルド・トランプ大統領ー (ケセラセラ vol.89 夏)

東京大学名誉教授 大井玄

 

トランプ大統領は、もともと不動産屋で、テレビショーの司会者がたまたま大統領になったにすぎない、と嘆くアメリカ人も多い。
たしかに、いまや3000万人ともいわれる彼のツイッターのフォロワーがいなければ、大統領にはならなかっただろう。彼はデジタル時代の申し子である。
前回断ったように医師としての私が興味を持つのは、彼の性格的特徴であって、私の愛する認知症高齢者とおどろくほど共通するところと、まったく異質なところがあるからである。
共通する性格特徴は、嘘だとは思わないで嘘をつくこと、誇り高く、過ちを認めることは絶対にしないこと、さらに不安を容易に怒りに転化させることである。ただトランプ氏が直ちに腹を立てるのは、その性格的未成熟さによる。

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哲学の本 (ケセラセラ vol.89 夏)

医療法人和楽会 心療内科・神経科 赤坂クリニック 院長 吉田栄治

 

夜、眠る時に、哲学の本は格好の睡眠薬がわりになります。面白い小説などはダメですね。夢中になってしまって逆に眠れなくなります。岩波文庫、中公文庫、講談社学術文庫などの哲学本などがお勧めです。枕元に読書灯(白熱灯は熱くて危ないのでLEDがいいと思います)をつけて、横になって読めば、だいたい数十行で眠くなりますから、そうしましたら、本を置いて読書灯を消して、そのまま目をつぶればOKです。

最近私が重宝している本は、以下のようなものです。
・ショーペンハウワーの「意
志と表象としての世界」
・パスカルの「パンセ」
・ゲーテの「ファウスト」
・ニーチェの「ツァラトゥストラ」などなど。

ベッドに横になって、その日の気分であちらを読んだりこちらを読んだりして、ものの数分で寝ています。

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パニック症と社交不安症 (ケセラセラ vol.89 夏)

医療法人和楽会 横浜クリニック 院長 海老澤尚

 

当クリニックはうつ病の他、不安症の診療を専門分野の一つに掲げていることもあり、パニック症や社交不安症の方も多く来院されます。

パニック症では突然の動悸、息苦しさ、めまい感、吐き気、腹部の不快感、火照り、胸痛、発汗、浮遊感、手脚の痺れ、震え、自分が自分でない感じ、などが発生し、「死んでしまうのではないか」「このままどうにかなってしまうのではないか」と恐怖・不安状態に陥るパニック発作が予期せずに繰り返し生じます。発作症状は始まってから数分以内にピークに達し、1時間以内で収まることが多いです。多くの場合、発作が収まった後は通常の生活を続けることができます。「また発作が起こるのではないか」と不安が続いたり、発作を誘発するような場面に恐怖・不安を抱いて避けるようになることもあります。発作は夜間睡眠中に起こることもあります。 続きを読む


自分を振り返る2 岐阜大学での6 年間 (ケセラセラ vol.89 夏)

医療法人和楽会 なごやメンタルクリニック 院長 原井宏明

 

人生で一番輝かしい時期は?

皆さんの人生を振り返り、一番良かった時期とはいつでしょうか?
青春を謳歌したといえるときは?
当時に戻りたいと思える時期は?

かなりの人が10代後半、大学生のころを考えるのではないでしょうか?私もそうです。医学部の6年間に人生の“お初”がたくさんあります。一人暮らしを始めました。水泳部に入りました。1年の冬に初スキー、3年でファースト・キス、デート、失恋…医学生ですから、死体解剖なども経験します。この中にはスキーのように私が今でも続けているものもあれば、またやりたいと思っているのにまだやらずにいること、1回だけでもう十分というものもあります。ホルマリンの匂いの中での解剖実習はその代表選手です。国家試験もそうですね。
またやりたいと思っているのにまだやらずにいることは何かと聞かれたら、私はバイクと答えるでしょう。初夏の季節、ライダーを道路で見かけるたびにうらやましくなります。

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不安のない生活(33) 呼吸について(6) (ケセラセラ vol.89 夏)

医療法人和楽会 理事長 貝谷久宣

 

前回、坐禅では調身・調息・調心が大切であることを述べました。これは、沈静な心には、呼吸が整わなくてはならない、呼吸を整えるには姿勢を正しくしなければならないということです。坐禅の姿勢として、坐蒲に座った時に坐骨が垂直で、骨盤が水平となり(図1)、その上に背骨が真っ直ぐに列なり、頭頂部で天井を突き上げるが如く気持ちで坐るのが良いとされています(図2)。ところが、尺八奏者中村明一氏の「密息」では、骨盤を後ろに倒すのが良いとしています。坐禅の呼吸と尺八を吹く息使いとは別物であると思われるかもしれませんが、実はどうも深い関係がありそうなのです。

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