医療法人 和楽会
心療内科・神経科 赤坂クリニック なごやメンタルクリニック 横浜クリニック

主な病気の解説−対人恐怖症

対人恐怖症 人と会うのが怖い、手や声が震える……

対人恐怖症

大勢の人の前で話したり、初対面の人と会うのを恐れる気持ちは、だれもが抱えるもの。でもそれによって仕事に行くのも苦痛だったり、体の緊張や震えで日常生活もままならない場合には、「対人恐怖症」の可能性があります。対人恐怖症は、10人に1、2人がかかるといわれるほどポピュラーな病気。どんな病気なのか、どう対処したらいいのかについて、じっくりご紹介しましょう。



オレンジページ 2005.夏号 P48-53

監修/貝谷久宣
(心療内科・神経科 赤坂クリニック理事長)

取材・文/岸原千雅子
イラスト/すがわらけいこ



性格や育った環境が関係すると考えられます

対人恐怖症の人には、もともと神経質で小さなことにこだわったり、怖がりで恐怖心を持ちやすいなどの性格傾向がみられるといわれます。また子ども時代、人見知りがあったり、幼稚園などで泣いて母親と離れられなかった「分離不安」の傾向もあるようです。学校で友人が先生にしかられるのを見て、人前に立つのが怖くなったり、発表するときに声が震えてしまって以来、人前でものが言えなくなったなど、小さいころの体験や育った環境による影響もあるとされています。

20〜30代の女性にも多い病気です

社会不安障害は、女性に多く、男性の約2倍もみられます。病気そのものは、多くの人で10代後半〜20代前半までに体験するようですがとくに悩みを覚え、生活に支障をきたすようになって病院にかかる率が高いのは、20〜30代の時期。というのもこの年代では、就職して社会に出たり、結婚・出産をしてお母さんどうしのおつきあいが生じたり、ということで、社会的な活動が多くなります。そのために苦痛やトラブルを強く感じやすいのです。

「社会不安障害」ともいわれています

「対人恐怖症」は、近年、「社会不安障害」という名前で注目を浴びるようになった病気です。人前に出れば、だれでも多かれ少なかれ不安や恐れを抱くものです。この「社会不安」と呼ばれる人への不安や恐れが過剰になると、悩みや苦痛が大きくなり、社会生活にも支障をきたします。これが「社会不安障害」、すなわち「対人恐怖症」です。以前は病院に行っても、「気の持ちよう」「性格の間題」とされることもありましたが、治療の対象になるれっきとした病気なのです。


あなたは大丈夫?

対人不安チェックリスト

人によって不安や恐怖の対象はさまざま。下の項目に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。
当てはまる項目が1つでも悩みが大きかったり、複数の項目に当てはまるなら、対人不安にならないための5つのポイントの対策を試して見ましょう。

  スピーチ恐怖

 対人不安のなかで、訴える人がもっとも多いタイプ。会議や披露宴などでスピーチをする際、頭が真っ白で声が出なかったり、不安で声が震えたりして強いプレッシャーを感じます。人前に立つ機会が増えた人にあらわれやすく、他の状況ではほとんど不安を感じない人が多いのも特徴です。

 

  赤面恐怖

 人前に立つと顔が赤くなったり、異性の前に出ると赤面することが恥ずかしいために、人に注目される場面を過剰に意識したり、人が集まる場所を避けるタイプ特定の場面で顔が赤くなっているのを指摘され、以来人前が苦手になる場合もあります。

 

 

  対人緊張

 学校や会社で、自分以外の人は皆仲がよさそうに見え、孤立したように感じる。他人とのつきあい方やコミュニケーションの方法がわからない。他人の存在を過剰に意識し、緊張感や苦痛を感じる、対人恐怖の典型的なタイプです。

 

  視線恐怖

 人が自分に注目して、うわさをしている気がする、自分の行動を観察されているようで落ち着かない、といった他人の視線が怖いタイプと、自分の視線が相手にいやな感じを与えてしまうことを恐れるタイプの両方があります。前者が重症になり妄想的になると、別の病気(統合失調症など)の可能性も。

 

  会食恐怖

 食べているところを他人に見られると、緊張して食べられない。自分の立てる音が気になって、のどが詰まる。それでおいしそうに食べられないと、同席者に申し訳ないと悩むなど、人前で食事をすることを極端に恐れるタイプです。

 

  電話恐怖

 ほかの人に聞かれていると思うと、オフィスで電話をとれない。電話が鳴ると胸が高鳴り、おかしな人と思われるのではないかと思い、電話をとっても言葉が出ない。この電話恐怖は、会社勧務の若い女性に多いタイプです。また、電話の相手を気にするタイプもあります。

 

  発汗恐怖

 人から話しかけられると、緊張してぐっしょりと汗をかく。仕事で接客をしていると、額からポタポタと流れるほど汗をかき、タオルが手放せないなど、人と接する恐怖や緊張のあまり、大量の発汗をするタイプです。

 

  振戦恐怖

 職場で来客にお茶を出そうとすると、手が震えてしまう。上司にチェックされているとパソコンを打ち込む手が震えて、ますます緊張する。このように人と接する場面で、手や足など体が震えてしまい、そうした場面が怖くなるタイプです。

 

  書痙

 黒板に字を書く、窓ロで申込書に記入するなど、人前で字を書こうとすると手が震え、書くことがむずかしくなるタイプ。人から変に思われるのではないか、と思うとますます震えたり書けなくなったりしてしまいます。

 

  排尿恐怖

 男性にも多いタイプで、職場のトイレに上司や苦手な人が入ってきたり、公衆トイレなどで、後ろに並ばれたり、横に人がいると、ドキドキして排尿ができなくなる。早く出さなければと思うと、ますます出なくなってしまいます。人がいないトイレなら平気なのも特徴です。

 

  自己臭恐怖

 汗のにおいやロ臭など、自分の体のにおいが人にいやな思いをさせているのではないか、と気になり、人との接触を避けるようになるタイブも重症になって「人が自分を避ける」といった思い込みが確信的になると、「妄想性障害」という別の病気の可能性もあります。

 

  腹鳴恐怖

 会議中や講演会などで、おなかが鳴るのではと心配でたまらないタイプ。そのため人が集まる場所を避けたり、食事時間でなくてもおなかに充分食べ物を入れてから出かけないと安心できなかったりします。