対人恐怖症



対人恐怖症は、病院で適切な治療を受けることで、比較的簡単に楽になる病気です。
ここでは病院のかかり方、治療の内容について解説しましょう。


早めの受診が肝心です
 対人恐怖症に悩む人には、プライドの高さがあり、「おかしな人と思われたくない」「弱みを見せたくない」「性格が弱いせいだ、自分でなんとかしなければ」と病院や薬に頼ることを避ける傾向がみられます。しかし対人恐怖症(社会不安障害)は、病院で出される薬がよく効き、受診することで驚くほど楽になる病気。つらい症状が続き、仕事や家事など生活に支障が出たとき、不安に加えて落ち込みがあるときは、早めに病院を受診しましょう。
 対人恐怖症を専門に診てくれるのは、心療内科か精神科のクリニック。電話などで問い合わせ、対人恐怖症や社会不安障害をきちんと診てくれるかどうか、事前にチェックしてからかかるといいでしょう。

問診で細かくきかれ、質問票などを使って診断
 クリニックではまず、問診によって@どんな状況をもっとも恐れるか、Aいつから意識したか、Bきっかけがあるか、Cそれによって実際に恥をかいたことがあるか、といったことを詳しく尋ねられます。また下のような質問項目をもとに、具体的な症状について確認されたり、自分で質問票に記入します。これらの結果をもとに診断が行われます。

血液検査など必要な検査も行われます
 なお、手の震えや動悸、不安などの症状が、甲状腺機能亢進症やパーキンソン病など、他の病気から起こっている可能性もあります(次ぺージ参照)。そのため、他の病気がないかどうか確認するために、血液検査などの検査が行われることもあります。うつ病など、他の心の病気を併発していないかチェックするため、質問票検査が用いられることも。


・・・ 診断に使われる質問票の例 ・・・
(東大式社会不安尺度より一部抜粋)

恐怖や回避の程度、症状の程度を「ない」〜「非常に高度」まで、5段階で答えます。

1.以下の状況に対して、どれくらい恐怖感を持ち、その状況を避けましたか?

多くの人の前で話す
目上の人と話す
見知らぬ人に話しかける
他人の視線を浴びる
人にしかられる
人前で字や絵を書いたり演奏する
他人と飲み食いをする
電話に出る
新年会、クラス会、飲み会などの社交的な集まりに出る

2.他の人々と接触したときや、そのような状況を思い浮かべたときに、次のような症状を経験しましたか?

赤面または青くなる
動悸
震え(手足、全身、声)
発汗
筋肉のこわばり、力み
吐き気、腹部不快感
口の乾き
息苦しい
尿が近い、尿が出ない
顔が真っ白になる、めまい